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Jトラスト Research Memo(6):日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業がけん引して業績回復基調(4)

発行済 2019-09-09 15:06
更新済 2019-09-09 15:20
© Reuters.  Jトラスト Research Memo(6):日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業がけん引して業績回復基調(4)
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■Jトラスト (T:8508)の業績動向(3) 東南アジア金融事業東南アジア金融事業では、東南アジアで最大の人口を持つインドネシアで銀行業及び債権回収事業などを展開する。

ライツ・オファリングで得た資金により、銀行業の現PT Bank JTrust Indonesia,Tbk.(以下、Jトラスト銀行インドネシア)を傘下に収めた。

現在は同行の立て直しに注力しており、将来的には債権回収業のPT JTRUST INVESTMENTS Indonesia(以下、Jトラストインベストメンツインドネシア)、マルチファイナンス会社のJTOとともに、同社グループでは東南アジア金融事業が第3の収益の柱に成長し、グループの業績をけん引することを期待している。

2019年12月期第1四半期は、銀行業における貸出金減少に伴い利息収益が減少したこと等により、東南アジア金融事業の営業収益は2,726百万円(前年同期比13.2%減)となった。

また、Jトラスト銀行インドネシアにおいて、フォークローズドアセット評価損(差押え担保資産の評価損)を計上したことや、新たに連結取り込みを行ったJTOが損失となったこと等により、セグメント損失1,889百万円(前年同期は783百万円の損失)を計上した。

長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったJトラスト銀行インドネシアについては、同社グループでは最優先課題の1つとして、再生に取り組んでいる。

これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社Jトラストインベストメンツインドネシアを設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど、銀行再生を加速してきた。

ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期決算において抜本的な対応に踏み切った。

すなわち、Jトラスト銀行インドネシアでは買収前からの負の遺産を含めた不良債権を前倒しで一括処理することを決断した。

このように抜本的な不良債権処理を断行することで、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。

回収及び不良債権売却を進めた結果、2019年6月末の銀行の貸出残高は537億円と前年同期比42%減となった。

同社ではJトラスト銀行インドネシア失敗の原因は人材の能力、リスクマネジメント、ITシステム等の不足にあったと分析し、2019年12月期は「土台作り」を行うために、以下のような対策に着手している。

第1に、「人材、組織の再構築」では、土台作りのために、韓国で破たんした銀行を再生させたグループの精鋭メンバーをインドネシアに派遣した。

その他、審査や営業、リスクマネジメントなど、各セクションにおけるスペシャリストを派遣する方針だ。

第2に、「リスクマネジメントの強化」では、リスクマネジメント体制及び審査部門の強化を図る。

日本人スペシャリストを部門ヘッドに据え、リスクマネジメントでは、「けん制機能」と「見える化」でリスクを早期発見し、モニタリングの強化を継続することで、将来リスクを未然に防止する。

また、審査では、既存債権の見直し、担保カバー率のアップ、ジョイントファイナンスのスキームを活用したリスクの分散を図る。

第3に、「ITの改善」では、モバイルバンキングの開設、デジタルバンキングを目指した取り組みを行う。

モバイルバンキング導入については、中央銀行より2019年8月2日付にて承認を得ており、2019年8月中に一般顧客へ告知を開始した。

効果的に集客、普通預金を集めることで預金コストの低下を見込む。

インドネシアのスマートフォン普及率は42%で、単純計算でも1億人以上と推計され、潜在顧客は多い。

また、デジタルバンキングについては3ヶ年計画を作成している。

インドネシアのような広大な土地において、非対面での口座開設は大きな魅力であり、銀行口座を持たない人々に対し、最大のアプローチ手段になると考えている。

第4に、「COF(コストオブファンズ:調達コスト)の改善」として、預金利息の圧縮及び適切な預金(量)のコントロールを図る。

現在は、貸出抑制の中で預金量をコントロールしているため預金量が減少しているが、モバイルバンキング導入に伴い預金量が増加し、特に普通預金比率の上昇によってCOFの低下を見込んでいる。

加えて、「優良資産の積上げ」として、JTOを中心とした資産の積上げに加え、日系/国営/財閥系・大手銀行系企業への貸付や社債への投資を行う計画である。

2019年3月期決算では、予備軍を含めて不良債権を圧縮済みである。

マルチファイナンス会社のJTOについては、2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めた。

JTOはオートローン業界の老舗として高い知名度があり、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。

既に提携先等のパートナーも増えており、従来の中古車ローンに加え農機具ローンや新車ローンなど新しい商品の提供を始めている。

また、Jトラスト銀行インドネシアのバランスシートを活用し、資金調達の安定化、資本効率の向上を進めつつ、銀行の再建にも寄与する見通しである。

JTOの新規貸付金額及び件数の推移を見ると、2019年6月はレバラン休暇によるディーラーの長期休暇の影響で一旦減少したが、7月は5月を大きく上回り、記録更新中である。

今後も、ディーラーへのアプローチを強化して更なる拡大を図る計画だ。

債権回収業のJトラストインベストメンツインドネシアについては、Jトラスト銀行インドネシアより移管された不良債権に対しては貸倒引当金を計上済である。

今後は、立ち上げから3年半で蓄積したノウハウを活用して債権の回収拡大を図る。

インドネシアでは専業の債権回収業者が不足しており、業界形成がこれからのインドネシア市場における先行者利益(収益機会)の獲得につながる。

これまで 日本・韓国で培ったノウハウも融合させ、回収拡大を図る計画だ。

既に新体制移行後、回収実績は一段レベルが上昇している。

JTOのグループ入りに伴い、韓国に続きインドネシアでも、銀行、債権回収会社、ファイナンスカンパニーの三位一体の事業セグメントが構築され、幅広いエリアにおける多様なニーズに応えられる体制が整ったことになる。

加えて、2019年8月には、カンボジアの商業銀行42行中、TOP10に入る資産規模のANZRの株式55%を取得し、商号をJTRBに変更した。

JTRBは優良銀行であり、2018年度の営業利益は31億円と、既に高収益を計上していることから、同社グループに対する早期の利益貢献が期待される。

JTRBの強みは法人取引にあるが、同社グループのリテールノウハウを融合する計画である。

カンボジアは同社グループにとって6ヶ国目の進出となり、東南アジア金融事業を今後のグループ成長ドライバーと位置付ける、同社の戦略がうかがわれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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