[デトロイト 29日 ロイター] - 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM) (N:GM)は29日、先週まで40日間続いたストライキによる費用が重しとなり、通年の業績見通しを下方修正した。ストでほぼすべての北米の操業が影響を受け、GMは年間利益が約30億ドル押し下げられると試算。
ただ第3・四半期決算が堅調だったことで、終盤の取引で株価は4.7%高の38.38ドルとなっている。一時は38.695ドルまで上昇した。
第3・四半期決算は、利益率の高いピックアップトラックとスポーツ多目的車(SUV)などの国内販売が伸びたことで、利益が予想を上回った。
純利益は23億ドル(1株当たり1.60ドル)と、前年同期の25億ドル(同1.75ドル)から減少した。ただ一時項目を除く1株利益は1.72ドルと、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の1.31ドルを上回った。
売上高は354億7000万ドルと、357億9000万ドルからやや減少。ただアナリスト予想の338億2000万ドルは上回った。
地域別では米国が6%増。フルサイズ・ピックアップトラックやSUVのほか、クロスオーバー車などの利益率の高い車種の販売が好調だったことで押し上げられた。
一方、中国は17.5%減少。減少は5四半期連続となる。株式収入は40%減の3億ドル。
全米自動車労組(UAW)は25日、GMの時間給労働者の57%が新たな労使協定を承認したと発表し、40日間におよんだストが終結した。[nL3N27A4NP]
アナリストは今回のストのコストは20億ドルを超えたと試算。GMは第3・四半期はストにより税引前利益が10億ドル(1株当たり0.52ドル)押し下げられたとしている。通年ではストのコストは1株当たり約2ドルになるとした。
通年の業績見通しについては、調整後の1株利益が4.50─4.80ドルになるとし、従来見通しの6.50─7.00ドルから下方修正した。
自動車部門の調整後のフリーキャッシュフローはゼロ─10億ドルになるとし、45億─60億ドルから引き下げた。第3・四半期末時点では24億ドルだった。
設備投資は約75億ドルになるとし、80億─90億ドルから下方修正した。
ディビア・スリヤデバラ最高財務責任者(CFO)は第3・四半期について「基調的に堅調だった」と指摘。ストにより自動車生産は約30万台押し下げられたとしたものの、ストの影響は「一時的なもの」との考えを示した。ただ、中国事業については「ボラティリティーが高い状態が続いている」と述べた。
GMは2020年の詳細な業績見通しを年明けに発表するが、スリヤデバラCFOは来年は国内市場の販売減が課題となるとの見方を示した。
メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は決算発表を受けた電話会見で、GMが電気自動車の開発と販売にかける費用は向こう5年間でガソリン車を上回ると表明。電気自動車はガソリン車と比べ、投入する労働力が「幾分」少なくて済むと述べた。
ただ、2030年代までガソリン車は引き続き米市場で販売される車両の大きな割合を占めると予想。電気自動車にも部品が必要となるため、エンジンやトランスミッションなどを製造するGMの工場が脅威にさらされることはないと述べた。
UAWは電気自動車のシェア拡大が雇用水準に将来的に及ぼす影響について懸念を表明している。
*内容を追加しました。