[8日 ロイター] - 10月の海外からアジア株への資金流入が6カ月ぶり高水準となった。米中通商協議が暫定合意に近付いているとの観測が域内経済減速への懸念を和らげたことが背景。
韓国、台湾、インド、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの証券取引所の集計データによると、10月の海外投資家のアジア株投資額は54億6000万ドル。
ただ、海外からの資金の行き先は台湾とインドに集中していた。
台湾は堅調な経済成長や輸出の増加が強みとなり、44億5000万ドルの資金が流入。台湾主計総処が10月31日に発表した7─9月期域内総生産(GDP)速報値は前年比2.91%増で、約1年ぶりの高い伸びを記録した。
インドへの資金流入は17億4000万ドル。HCLテクノロジーズ (NS:HCLT)、ヒンドゥスタン・ユニリーバ (NS:HLL)、ラーセン・アンド・トゥブロ(L&T) (NS:LART)など、同国を代表する大企業の7─9月期の業績が好調だったことが資金を引き付けた。
フィリピンにもわずかながら資金が流入した。
一方、それぞれの経済への懸念から、インドネシア、タイ、韓国の株式市場からは資金が流出した。
インドネシア統計局が発表した第3・四半期のGDPは前年比5.02%増と、2017年第2・四半期以来の低い伸びとなった。同期の韓国のGDP伸び率も予想を下回った。
しかし、アナリストの多くは今月中にも米中の通商協議が「第1段階」の合意に至ると期待しており、新興国市場への資金流入についても楽観的だ。
シンガポールに拠点を置く金融サービス会社IGのストラテジスト、ジンギ・パン氏は「米中ともに休戦状態を保とうとする意欲が高まっていることをアピールしており、米中の『第1段階』の合意成立に向けてアジア株式への資金流入は続く可能性がある」と述べた。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191108T103720+0000