日経平均は3日ぶりに反発。
159.76円高の23294.99円(出来高概算5億6420万株)で前場の取引を終えた。
前日の米国市場では、米中は部分合意に近づいているとの一部報道を受け、改めて米中の歩み寄り期待が再浮上し、主要株価指数は反発した。
対ドルでの円の下落幅は大きくなく、1ドル=108円90銭前後と109円台を回復していないが、昨日までの2日間で400円近く下げていたこともあり、本日の日経平均は買い戻し先行の展開となった。
セクターでは、鉄鋼業を筆頭にガラス業、非鉄、金属などがプラス推移している一方、水産業、陸運業、サービス業などがマイナス圏での推移。
売買代金上位では、ソフトバンクG (T:9984)、ファーストリテ (T:9983)、村田製作所 (T:6981)、キーエンス (T:6861)など日経平均高構成比銘柄やハイテク株が上昇している。
また、「ヒプノシスマイク」のTVアニメ化を決定したオルトプラス (T:3672)が8%超と大幅高となった。
他方、国内証券による投資判断の引き下げが観測されたガンホー (T:3765)や既存店売上高が9ヵ月連続で前年割れとなった串カツ田中 (T:3547)は5%超と下げ、値下がり率上位にランクイン。
日経平均は引き続き米中協議に関するヘッドラインに振らされながらも節目の23000円を意識した値固めの展開となりそうだ。
22700円台まで下げた11月21日および2日間の合計で400円近く下げた昨日も結局はどちらも終値では23000台をキープする結果となったことから、ここが下値の目途だという意識が強まってきている。
需給面では、いざという場面での日銀のETF買い入れの思惑などもある。
また、PERを見ても14.03倍と直近5年平均(約14.3倍)を下回って過熱感はなく、ここからも下値は堅いと考えられよう。
経済指標では、直近発表されたばかりの米ISM製造業・非製造業景気指数がともに市場予想を下回るというネガティブサプライズがあったが、中身をつぶさに見れば総悲観な内容とまでは言えないだろう。
製造業の下振れは確かにネガティブだが、非製造業のISMについては景況感が大きく下がった一方で、新規受注と雇用は2ヵ月連続で改善しているため、全体としてはニュートラルな印象。
また、米年末商戦の好調さなどからも、堅調な個人消費に基づく非製造業の底堅さは簡単には崩れそうにない。
その他、4日に国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が発表した7-9月期の半導体製造装置の世界出荷額は前年同期比6%減と、4-6月期の同20%減からマイナス幅を大きく縮小してきている。
完全な底打ちを確認するにはまだ早いが、明るい兆しの材料が散見されていることには注目したい。
また、昨日、日経平均が大きく下げた局面でもJASDAQ平均は9連騰、マザーズ指数も小幅な下落に留まった。
今年前半のグロース株優勢の流れから、10月のバリュー株、直近の中小型株と物色の矛先が広がってきていることからも悪くない市場環境といえよう。
この先も、米中協議の進展が明瞭になってくるまでは、ニュースフローに振らされながら、センチメントが強い時にはハイテク株主導、センチメントが後退している時には中小型株主導といった形で物色の矛先を変えながらの相場展開になることが想定される。
(仲村幸浩)