■要約1. 2019年12月期第2四半期は、韓国及びモンゴル金融事業が東南アジア金融事業をカバーJトラスト (T:8508)は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業、非金融事業などを有するホールディングカンパニーである。
2019年12月期第2四半期の営業収益は36,307百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は118百万円(同366.2%増)の減収増益決算であった。
日本金融事業は堅調で、韓国及びモンゴル金融事業は期初に設定した予想を大きく上回る好業績だった。
ただ、東南アジア金融事業は引き続き損失を計上した。
2019年8月にはカンボジアの優良銀行であるANZ Royal Bank(Cambodia)を傘下に収め、JTrust Royal Bank(以下、JTRB)に商号変更をし、株式の取得に伴い負ののれん発生益を計上した。
しかし、PT Bank JTrust Indonesia,Tbk.(以下、Jトラスト銀行インドネシア)においてフォークローズドアセット評価損(差押え担保資産の評価損)を計上したことや、マルチファイナンス会社のPT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE(以下、JTO)が営業損失となったことが響いた。
2. 2019年12月期は小幅の営業利益を計画するが、計画を上回り着地する可能性大同社では、海外子会社の増加に伴い、2019年より決算期を3月から12月に変更する。
それに伴い、2019年12月期は9ヶ月決算となり、営業収益は64,397百万円、営業利益は61百万円を予想する。
期初予想を変えていないが、韓国及びモンゴル金融事業が好調な上、日本金融事業も堅調であったことから、営業利益は第2四半期段階で通期の計画を上回っており、最終的に計画を上回って着地する可能性が大きい。
日本金融事業では、新たな保証商品の開発やサービサー事業の安定成長などにより、安定した利益を計上する。
韓国及びモンゴル金融事業では、デフォルトリスクを最小限にとどめる一方、モバイルアプリのリニューアルなどにも取り組み、利益確保につなげる。
一方、東南アジア金融事業では引き続き損失を見込むが、インドネシアではグループの精鋭メンバーを中心に銀行の再建に取り組むとともに、マルチファイナンス会社のJTOを主軸に良質な債権を積み上げる。
さらに、カンボジアの優良銀行であるJTRBがグループに加わり、今後は収益貢献が期待される。
2019年3月期決算で、現状想定できる限りのリスクに対して手当てを行ったことで、2019年12月期からの業績回復を目指すための準備が整ったと言える。
なお、配当については早期の業績回復を優先するために年間1円への減配を予定する。
3. 2020年12月期以降は、東南アジア金融事業を中心に本格的な業績回復を予想中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、同社グループは持続的な成長を目指している。
すなわち、2019年12月期には黒字転換を果たし、2020年12月期の営業利益は60億円へ、さらに2021年12月期には100億円規模に拡大すると見込まれる。
日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業では安定的な利益を稼ぐ一方、東南アジア金融事業では引き続き銀行の経営再建を進めるとともに、JTOを中心に貸付金額の増加を図る計画だ。
また、JTRBは高い経済成長を続けるカンボジアで、顧客層をミドルリスク層にも拡大することで、収益拡大を目指す。
さらに投資事業では、貸倒引当金の戻入れによる利益計上が期待される。
2020年12月期以降は、東南アジア金融事業の改善を中心に本格的な業績回復基調に入ると見る。
■Key Points・2019年12月期第2四半期は118百万円の営業利益を確保した。
韓国及びモンゴル金融事業の大幅増益が東南アジア金融事業の損失をカバーした・ 2019年12月期は、営業利益61百万円にとどまると予想。
ただ、第2四半期までの実績を考えると、計画を上回って着地する公算が大きい。
2020年12月期からの本格的な業績回復に向けて、東南アジア金融事業の再建に注力する・同社グループの収益モデルに変更はなく、今後は潜在成長性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指す計画である。
特に新たに傘下に収めたカンボジアの優良銀行が、顧客層拡大により収益貢献する見通し(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)