■業界環境(一社)日本フードサービス協会の調査によると、DDホールディングス (T:3073)が属する「パブ/居酒屋」は、個人消費の伸び悩みやちょい呑みブーム、若者のアルコール離れの影響等により縮小傾向(10年連続の前年割れ)が続いている。
特に、特徴を打ち出しにくい総合居酒屋の苦戦が目立つ。
一方、専門業態の中には善戦しているところもあり、総合業態から専門業態への転換を図る動きもみられる。
また、業界共通の課題として、市場縮小への対応はもちろん、人手不足やそれに伴う人件費及び採用費の拡大が深刻なボトルネックとなっている。
加えて、2018年の酒税法改正に伴うビール等の仕入額の上昇や食材費の高騰、家賃の上昇などもみられ、外部環境は厳しい状況が続くものと考えられる。
一方、海外においては、2013年に「日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産(世界遺産)に指定されたことなどをきっかけとして、空前の和食ブームが続いており、そこは明るい材料と言えるだろう。
業界構造は、比較的参入障壁が低い上に、消費者の景況感や嗜好変化の影響を受けやすいことから、常に新陳代謝の激しい状況にあると言える。
最近では、市場の縮小や人手不足などを背景として2極化の動きが顕著となっており、資本力のある企業を中心として業界再編が進む可能性にも注目が集まっている。
したがって、M&Aの活用などにより規模の利益を追求するか、異業種との連携を含めて新たな市場(事業モデル)を創り出すか、大きくいずれかの選択が成功のカギを握るものと考えられる。
同業他社には、同社と同様に多業態を運営するクリエイト・レストランツ・ホールディングス (T:3387)やコロワイド (T:7616)のほか、個性的な専門業態を運営するSFPホールディングス (T:3198)、鳥貴族 (T:3193)、串カツ田中ホールディングス (T:3547)などが挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)