[ボストン 22日 ロイター] - 物言う投資家として知られるヘッジファンドのマルカート・キャピタル・マネジメントが、運用成績の不振が2年にわたって続き資産が激減したため、閉鎖する。複数の関係筋が22日、明らかにした。
匿名の関係筋によると、マルカートの創業者でポートフォリオマネジャーのリチャード・マグワイア氏は前週後半に投資家に自身の決断を伝え始めた。運用資産の大半は現在キャッシュになっており、迅速に返還する見通しという。
同氏は過去1カ月間、償還要請に応じるため運用資産の売却を進めていた。
マルカートの広報担当者は22日、コメントを差し控えた。
マルカートは、米プライベートエクイティ(PE)大手ブラックストーン・グループ (N:BX)や著名投資家のウィリアム・アックマン氏の支援を受けて2010年に創業した。
その後、世界最大の信託銀行BNYメロン (N:BK)に改革を求めて最高経営責任者(CEO)の更迭を要求したり、米靴メーカーデッカーズ・アウトドア (N:DECK)に事業戦略の見直しを求めるなど、物言う投資家として影響力を発揮していたが、このほど9年の歴史に幕を降ろすことになった。
マルカートは最盛期には30億ドル前後の資産を運用していたが、現在では数億ドルに激減しているという。
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ある投資家によると、昨年リターンが急激に悪化し、2018年全体では大幅な損失を出した。今年は年初の運用は順調だったものの、米中貿易戦争などの打撃を受けて2年連続で赤字となる。
マグワイア氏は自身の資産運用は継続し、将来また他の投資家と組む可能性もあると関係筋は話している。
ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によると、2019年第1・四半期━第3・四半期に540のファンドが閉鎖した。一方、同期間に創業したファンドは391にとどまっている。2018年には合計659のファンドが閉鎖した。