[ワシントン 14日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)のジャクソン委員は14日、ロイターのインタビューで、いわゆる直接上場について、株式公開時に金融機関に支払う過剰な手数料を抑える手段として支持する考えを示した。
直接上場は、幹事金融機関を介した新規株式公開(IPO)を行わず、既存株式だけを公開する方法。現在ニューヨーク証券取引所(NYSE)が新たな直接上場の方法の承認をSECに求めている。
ジャクソン氏は、NYSEの個別案件にはコメントできないとしながらも、ウォール街の金融機関が定めている7%という手数料率を下げることが可能なイノベーションは、一般的に歓迎すると表明。同氏のスタッフが行った調査では、この手数料率は過去20年間変化しておらず、中堅企業にとっては上場の大きな障害になっていると付け加えた。
同氏は「あらゆるコストが低下している今の世で、米国の公開資本市場にアクセスする上で、7%もの税金を課しているとは驚きだ」と強調し、米国で上場企業が減少しているのは融通の利かない、煩雑な手続きを強いる当局のせいだとの批判は妥当ではないと退けた。
さらに「良いニュースは、人々が競争し始めていることだと思う。直接上場はこの分野で私が期待する多岐にわたるイノベーションの始まりだ」と語った。
直接上場は、2018年に音楽配信のスポティファイ (N:SPOT)が初めて採用し、19年にはチャットアプリのスラック (N:WORK)も追随した。IPOに比べて金融機関への手数料コストが少ない点がメリットだが、金融機関を通じた上場企業の審査がなくなるため、投資家保護にはマイナスになりかねないとの声も出ている。
ジャクソン氏も、こうした「トレードオフ」があると認めた上で、直接上場のルール変更によってどのように投資家を保護していくか詳細に検討したいと述べた。