(ブルームバーグ): 2月3週(17ー21日)の日本株は軟調な展開が予想される。新型コロナウイルスを巡る不安が払しょくされないことで、企業業績の先行き不透明感が重しとなる。半面、米国経済の底堅さや政策期待は一定の下支えになりそう。
中国湖北省では新たに「臨床診断」を追加したことで感染症例の増加が明らかになった。新型肺炎の影響は短期的との見方が株式市場に多いが、感染ペースは衰えていない。国内景気指標で1月の貿易統計、訪日外客数、消費者物価などが予定されており、国内景気の実態悪から来期の企業業績が改めて懸念されるきっかけになり得る。
一方、米国では18日に2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、19日に1月の生産者物価や住宅着工件数などがある。世界経済をけん引する米景気の底堅さが確認できれば安心感につながる。また、22日からの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で政策協調の枠組みが明らかになれば、好感される可能性がある。
このほか、米国では19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(1月28、29日)が予定されるほか、国内では17日発表の昨年10-12月国内総生産(GDP)が5四半期ぶりマイナス成長に転じる見込み。2週のTOPIXは週間で1.7%安の1702.87と反落した。
≪市場関係者の見方≫
三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之シニアストラテジスト
「短期的にボラティリティーの高い相場が続きそうだ。新型ウイルスの感染者数は、数万人規模から3週には桁が変わる可能性がある。2月に入り株式市場は戻りを示したが、新型肺炎の影響を完全に織り込んだか疑問だ。アナリストは新型肺炎の影響を企業に対して精査することで、リビジョンインデックスが低下するのではないか。消費増税の悪影響が残る中での日本の1月消費者物価の動向も非常に重要で、新型肺炎の影響次第でまたデフレに戻るリスクが意識されるかもしれない。ただ、G20では新型肺炎を注視しながら政策協調を行う方向になりそう」
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最高投資責任者
「ボックス圏での動きになりそうだ。新型ウイルスは感染拡大に収束の兆しが出るまで懸念材料として残り、株式相場の上値を抑える。消費増税の影響から個人消費が低調なほか、自動車販売の低迷などもあって、来期に企業業績が回復するか疑問だ。ただ、米当局の追加利下げや中国の財政政策が景気を下支えするとの期待で大きく崩れることもなさそう。日経平均の予想レンジは2万3500ー2万4000円」
--取材協力:河元伸吾.
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