(ブルームバーグ): 日本株相場が大幅安となる中、下値めどとして株価純資産倍率(PBR)に着目する向きが増えている。
TOPIX、日経平均株価は6日、ともにことしの日中安値を更新した。景気や企業業績の先行き不透明感が高まっているだけに、収益から株価を評価する株価収益率(PER)よりも、最悪シナリオに備えるなら資産ベースで算出されるPBRが歯止めがききやすいとの見方が市場では出ている。
みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「新型コロナウイルスの影響で日本企業の今期企業業績は下振れが予想され、リスクオフ(回避)で為替も円高になりやすい。来期のV字回復が難しくなる可能性がある」と指摘。TOPIXの下値めどは「PBR1倍の1400近辺が意識されやすい」とみる。
丸三証券の服部誠執行役員は「リーマン・ショックや東日本大震災ではPBR1倍割れがしばらく継続し、その後日本経済はリセッション(景気後退)入りした」と振り返り、「今回もPBR1倍割れに向かう恐れがある」と警戒する。
服部氏によると、TOPIXのPBR1倍は1390ポイント、日経平均は2万910円。もし東証1部全体を示すTOPIXが1390まで下落するなら、足元のNT倍率14倍で試算して日経平均は1万9500円前後になると同氏は指摘。同水準は2015年のチャイナショック時の下落率19%を1月高値に当てはめて求めた1万9450円にも近く、「最悪シナリオとして想定される水準」と言う。
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