(ブルームバーグ): 米投資ファンドのカーライル・グループが株式の過半以上を保有するスナック菓子メーカーのおやつカンパニー(三重県津市)の売却を検討していることが6日、分かった。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。同社は「ベビースターラーメン」で知られる。
複数の関係者によると、カーライルはおやつカンパニーの買い手候補に対して初期的な打診を始めたほか、アドバイザーの選定作業に着手した。カーライルは2014年5月におやつカンパニーに出資した。
カーライルは現在の株式保有比率を公開していないが、関係者によると70%程度で、残りは創業家の持ち分だという。カーライルの売却総額は3億-4億ドル(約320億-430億円)となる可能性がある。
カーライルは2日、もやし栽培・加工の名水美人ファクトリー(大分県竹田市)の保有全株式をコメ卸大手の神明ホールディングスに売却することで合意したと発表したばかり。日本企業からの投資回収は19年3月以来約1年ぶりだった。
おやつカンパニーは名水美人同様、創業家から過半以上の株式を買い取り、経営の近代化を進めた事業承継案件。ウェブサイトによると、投資期間中に台湾工場の新設やベビースターのキャラクターの刷新を行ったほか、19年には創業家らが運営する工場一体型テーマパークのおやつタウンが開業するなど、認知度を生かしたブランド強化を進めてきた。
ウェブサイトによると、ベビースターは、インスタントラーメンの製造工程で出る麺のかけらをスナック菓子として再加工したことで生まれた。おやつカンパニーは1948年の創業で、直近の19年7月期の売上高は207億円。従業員数は404人。
関係者らによると、検討は初期段階のため、カーライルは継続保有を選択する可能性もあるという。 カーライルの広報担当者はコメントを控えた。おやつカンパニーは、コメントする立場にないと電子メールで回答した。
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--取材協力:Cathy Chan.
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