[10日 ロイター] - 日産自動車 (T:7201)が、ルノー (PA:RENA)・三菱自動車 (T:7211)と創設したベンチャーキャピタルファンドからの撤退を検討していることが10日、関係者2人の話で明らかになった。業績が低迷する同社は事業の見直しを進めており、今月末までに判断する。
関係者の1人によると、3社連合は先週会議を開催。まず三菱自動車がファンドに資金を拠出しないと伝え、これに続く形で日産が撤退の検討に入った。
別の関係者によると、撤退は事実上の決定事項。「自社がたいへんな状況のときに、もうこれはすでに決定も同然のことだ」とこの関係者はロイターに語った。
日仏の3社連合は2018年、電動化や自動運転など、自動車関連の革新技術を手掛ける新興企業を支援するファンド「アライアンス・ベンチャーズ」を設立した。3社の会長を兼務したカルロス・ゴーン被告主導のもと、年間200億円程度を投資するとしてきたが、3社の拠出額が必ずしもその額に達することはなかった。
日産の広報担当者はロイターの問い合わせに対し、憶測だとしてコメントを拒否。三菱自の広報担当者は、何も決まっていないとした。
業績が落ち込む日産は、新型コロナウイルスの影響でさらに販売が低迷。主力市場の中国では、2月の販売が前年比8割減少した。昨年12月に就任した内田誠社長のもと、事業の見直しとコスト削減を進めている。
関係者の1人は「ゴーン氏がファンドを作ったのは儲けるためではなく、新興企業に出資して勉強するためだった」と説明。「しかし今の厳しい財務状況を考えると、投資にはリターンが必要だ」と語った。
(日本語記事編集:久保信博)