日経平均は大幅反発。
230.70円高の18895.30円(出来高概算9億8000万株)で前場の取引を終えている。
26日の米株式市場でNYダウは大幅に3日続伸し、1351ドル高となった。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2兆ドル規模の経済対策法案が上院で可決。
27日には下院でも採決、成立するとみられており、景気下支えへの期待が高まった。
なお、21日までの1週間の失業保険申請件数は328万3000件と市場予想(150万件程度)を大きく上回った。
本日の日経平均も米株高の流れを引き継いで357円高からスタートすると、一時19366.29円(701.69円高)まで上昇。
しかし、朝方の買いが一巡すると伸び悩み、18900円を中心にもみ合う展開となった。
個別では、武田薬 (T:4502)など高配当銘柄の一角や東エレク (T:8035)、アドバンテス (T:6857)といった半導体関連株の上昇が目立つ。
その他売買代金上位ではソフトバンクG (T:9984)、トヨタ自 (T:7203)、ソニー (T:6758)などがしっかり。
メニコン (T:7780)のように証券会社の投資判断引き上げを手掛かりに大きく買われている銘柄も散見される。
また、ダイトウボウ (T:3202)が東証1部上昇率トップとなり、セグエ (T:3968)はストップ高を付けている。
一方、任天堂 (T:7974)やキーエンス (T:6861)が小安く、OLC (T:4661)、ダイキン工 (T:6367)などは軟調。
新作ゲームの配信開始で材料出尽くし感が広がったオルトプラス (T:3672)、今期無配とすることを発表したUTグループ (T:2146)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、電気・ガス業、医薬品、精密機器などが上昇率上位。
半面、石油・石炭製品、空運業、証券などが下落率上位だった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の72%、対して値下がり銘柄は26%となっている。
米国では前日、大型経済対策が週内にも成立するとの期待からNYダウが1300ドルを超える上昇となり、本日の日経平均も朝方700円ほど上昇する場面があった。
しかし、朝高後は伸び悩み、前日同様に19000円台での上値の重さを感じさせる動き。
物色動向でも半導体関連など一部を除き、米経済対策の恩恵が期待されそうな景気敏感セクターは大きく買われている印象に乏しい。
本日は3月末の権利付最終売買日となり、配当取りの動きや配当再投資に絡んだ先物買いも相場の押し上げ要因として期待される一方、減配リスクや新型コロナの感染拡大に対する警戒感が上値の重しになっているとみられる。
市場では配当再投資に絡んだ株価指数先物の買いが本日の取引終了前から週明けにかけて8000億円規模で入るとみられている。
個別でもこのところの株価下落で配当利回りの高い銘柄が多い。
しかし、新型コロナによる事業環境の悪化を受け、減配や無配転落を発表する企業が相次いでいる。
配当取りの動きは減配リスクの小さいディフェンシブ銘柄の一角に集中しているようだ。
なお、東証などは新型コロナの影響で3月末の配当基準日が企業によって後ずれする可能性があると呼びかけており、注意する必要がある。
また、週末を前に新型コロナの感染拡大への警戒感も拭いづらいだろう。
東京都などが週末の外出自粛を要請しているが、先週末の3連休後の感染急拡大を受け「自粛疲れ」による緩みも指摘されている。
ブラジルのボルソナロ大統領が日本の花見の様子をツイッターに投稿しており、こうした状況は海外にも伝わっているだろう。
外出自粛要請が効果を上げ「首都封鎖」が回避されるかどうか、この週末の状況を見極めたいとする国内外の投資家は多いとみられる。
米国もニューヨークを中心に感染者数が急増しており、中国やイタリアを上回り世界最多となった。
ニューヨーク州のクオモ知事は医療体制の限界を超えると訴えており、雇用など経済情勢の悪化も深刻だ。
各国の経済対策や需給面の相場押し上げ要因に期待しつつも、積極的な買いを手控えさせる材料が多いと言わざるをえない。
(小林大純)