日経平均は大幅反落。
463.28円安の19730.41円(出来高概算6億3000万株)で前場の取引を終えている。
4月30日の米株式市場でNYダウは反落し、288ドル安となった。
新規失業保険申請件数が過去6週間で3000万件に達したほか、3月個人消費支出(PCE)が過去最大の落ち込みを記録し、こうした経済指標の悪化が投資家心理を冷やした。
また、時間外取引ではアップルやアマゾン・ドット・コムといった主力ハイテク株が決算を受けて株価下落し、本日の日経平均は米株安の流れを引き継いで201円安からスタート。
前日に節目の2万円をおよそ2カ月ぶりに回復したことで短期的な達成感も広がり、前場の日経平均は下げ幅を広げ19698.48円(495.21円安)まで下落する場面があった。
個別では、東エレク (T:8035)が決算発表による材料出尽くし感から4%超下落し、アドバンテス (T:6857)など他の半導体関連株も軟調ぶりが目立った。
前日の米市場ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%超下落していた。
前期純利益の下振れを発表した三菱UFJ (T:8306)も4%の下落。
その他売買代金上位ではファーストリテ (T:9983)、トヨタ自 (T:7203)などが軟調で、ソフトバンクG (T:9984)は小幅に下落した。
また、PLANT (T:7646)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、任天堂 (T:7974)は小幅に上昇。
新型コロナウイルス用の新試薬発売を発表したタカラバイオ (T:4974)や、決算が評価されたZHD (T:4689)は堅調だった。
また、ウェルネット (T:2428)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
セクターでは、全33業種がマイナスとなり、海運業、保険業、鉄鋼、輸送用機器、繊維製品が下落率上位だった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の86%、対して値上がり銘柄は12%となっている。
本日の日経平均は寄り付きで節目の2万円を再び下回ると、下げ幅を広げる展開となった。
売買代金上位を見ると全般に利益確定売り優勢で、決算への評価が比較的高い村田製 (T:6981)も売りに押されるなど、特にハイテク株の軟調ぶりが目立つ。
米国で経済指標の落ち込みや決算を受けてハイテク株が売られた流れを引き継いだ格好だ。
タカラバイオのように材料株の一角が賑わっているが、これらも上値を追うような動きではない。
業種別では、これまでバリュー・リバーサル(株価反転)の流れに乗っていた海運など景気敏感セクターが下落率上位。
ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりで、前日のように1日を通じて3兆円に届くことはなさそうだ。
新興市場ではマザーズ指数が6日ぶりに反落している。
海外ではアジア・欧州の主要市場がメーデーの祝日で休場となっているが、NYダウ先物は時間外取引で一段と下落している。
東証株価指数(TOPIX)は2.00%の下落で前場を折り返しており、後場は日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施される公算。
とはいえ、後場の日経平均は5連休を控え軟調もみ合いが続くとみられる。
前日に日経平均が直近の戻り高値(4月17日19922.07円、取引時間中)を上回り、2万円の大台を回復したことで、買い戻し加速に期待する向きもあったが、結果的には5連休を前に目先の利益を確保する売りが強まった。
日経平均の目先の戻りメドとして、過去の出来高が比較的薄い20500円程度までとする証券会社が多く見られたため、投資家を一段と強気に傾けるまでには至らなかったと考えられる。
指標面で見ると、株価純資産倍率(PBR)1倍がおよそ21000円となり、企業業績の持ち直し期待がある程度高まってこないと到達しづらい水準と考えられる。
また、4月28日の当欄で予想したとおり、半導体関連等の値がさグロース(成長)株は良好な決算でも材料出尽くし感が意識され、短期的にネガティブな反応を示している。
目先的には日経平均の一段の押し上げを期待しにくいだろう。
欧米で経済活動再開のニュースが増えていることは先行きに期待を持たせるだろうが、十分な新型コロナ感染対策が伴わなければ、感染第2派の襲来と行動規制の復活もあり得るとみる市場関係者は少なくない。
経済再開の動きに伴い値上がりしてきた現在の株価水準は、むしろ下方リスクの方が大きいとの指摘もある。
前日、久しぶりに外資系証券の一角で日経平均先物の売り越しが目立ったのはこうしたことが背景にありそうだ。
5連休後の相場に対する市場の不安が窺える。
(小林大純)