[トゥールーズ/ベルリン 1日 ロイター] - 欧州航空機大手エアバス (PA:AIR)は1日、新型コロナウイルス危機を受けた1万5000人の人員削減計画について、雇用維持や研究・開発への政府支援と引き換えに、縮小もあり得ることを示唆した。人員削減に対しては、政治家や労組が反発している。
フランス政府はエアバスに対し、できる限り人員削減を少なく抑えるよう要求。フランスとドイツの労組はエアバスのリストラ計画は「レッドライン」と批判した。
フランスのドジェバリ交通担当副大臣はBFMテレビに対し、「仏政府はエアバスに、強制的な人員削減をできる限り少なくすることを求める」と話した。ドイツのアルトマイヤー経済相は、「エアバスのリストラが(拠点を置く)どの国も優遇されたり、不利益を被ったりすることなく、行われると想定している」と述べた。
エアバスによると、2021年半ばまでにフランスで5000人、ドイツでは5100人、スペイン900人、英国1700人、その他地域で1300人を削減する。
新型コロナの影響以外でも、ドイツを拠点とする子会社プレミアム・アエロテックで900人の削減を行う。
一方、エアバスの最高人的資源責任者を務めるティエリー・バリル氏は1日、記者団に対し、仏政府が新たな時短計画を最終決定すれば、同国における削減目標5000人のうち、5分の1は救われるとの見方を示した。また、次世代の環境配慮型ジェット機開発への政府支援により、さらにエンジニア500人の雇用が守られる可能性があるという。
エアバスはまた、ドイツでも同様の政府支援により、1500人の雇用が守られるとみている。
スペインのサンチェス首相は、同国における雇用維持を図るため、エアバスと協議すると語った。
仏独のエアバスへの出資比率はそれぞれ11%、スペインは4%だが、直接的な経営への関与は制限されている。
航空業界関係者は、雇用と政府支援の駆け引きはよくあることで、妥協が見込まれると話す。ただ、エアバスが言及した正規従業員の削減規模は08年のリーマン・ショック時の3倍とも指摘した。エアバスは当時、正規従業員5000人、期間工5000人を削減した。