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日本電技 Research Memo(6):新型コロナウイルスの影響を保守的に見る

発行済 2020-07-09 15:16
更新済 2020-07-09 15:21
© Reuters.  日本電技 Research Memo(6):新型コロナウイルスの影響を保守的に見る
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■業績動向3. 2021年3月期の業績見通し2021年3月期の業績見通しに関して、日本電技 (T:1723)は受注高30,500百万円(前期比1.0%減)売上高32,000百万円(同2.2%増)、営業利益3,550百万円(同19.8%減)、経常利益3,600百万円(同19.4%減)、当期純利益2,460百万円(同22.7%減)と見込んでいる。

当初、新型コロナウイルスの影響により業績予想の適正かつ合理的な算定が困難となったことから業績予想を未定としたが、2021年3月期の出足の動きが見えてきたことから改めて公表することになった。

前提は、売上高に関しては、新型コロナウイルスの第2波、第3波による工事現場の閉鎖などがない限り、受注済み案件の着実な完成計上が見込まれるため、微増収を見込んだ。

利益面では、受注済み案件の売上計上分は連動して確保できる想定となっている。

しかし、景気悪化に伴う設備投資の減少が予想されることから、小型の既設工事や比較的工期が短い工場向け案件で受注や売上の減少、採算の悪化が懸念され、減益予想となった。

仮に新型コロナウイルスの第2波、第3波によって工事現場の閉鎖などが発生した場合、更なる業績の悪化が見込まれる。

一方、事業別の戦略は着実に進行する計画である。

空調計装関連事業において、新設工事では、地域ブロック制を活用した早期情報収集に基づく計画的な受注や、本社主導による超大型案件の早期選定と施工体制の構築などを進める。

既設工事では、顧客ニーズにあった提案によるリピート率の向上、協力会社との結びつきを強化する協力会社制度の構築など、既存ビジネスにおける安定収益の確保と事業体制の強化を図る。

また、各種エネルギー・サービス事業にも取り組み、省エネビジネスの拡大も図る。

産業計装関連事業においては、地域ブロック全体でユニット(後述)による事業戦略を推進、ターゲットを明確化にすることで営業の効率化とシェアの拡大を図る。

AIやIoT技術を産業計装に取り込むための研究開発も進める。

確かに、2021年3月期に入ってから受注が決まる小型の既設工事や比較的工期が短い工場向け案件は、ビルや工場のオーナーのマインドの低下で、受注が取れなかったり売上規模が縮小したりする可能性はある。

そもそも打ち合わせ時期の4月にほとんど打ち合わせができていない。

しかもこのようなケースは、同社が元請になっている場合が多いので、利益へのインパクトも小さくない。

賃金の上昇を背景に作業員や協力会社などの人件費が上昇することも織り込んでいるうえに、基幹システムの構築にも費用がかかる見込みとなっている。

これでは、2ケタ減益予想は仕方ないだろう。

しかし、こうした同社の前提は少し厳しいのではないかと思われる。

ビル修繕を行わなければ資産価値が減少するし、工場を増強しなければ生産性改善や競争の面で後れを取ることになる。

従って、一定程度の受注は可能と考えられる。

人件費も、東京オリンピック向けにラッシュとなっていた各種建設工事が一巡していることから、大きな上昇にはならないと見られる。

一方、新規工事は、ゼネコン次第の面はあるが、現状止まっている現場はないもようで、案件もデータセンターやオフィス、官公庁、病院などの動きが良好である。

以上から、同社の2ケタ減益予想はやや保守的ではないかと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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