[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米銀大手の幹部らは、新型コロナウイルスの感染拡大で経済的に打撃を受けている多数の個人顧客に対するクレジットカードや自動車ローン、住宅ローンの返済猶予を延長したと明らかにした。
返済に時間が必要な顧客にとっては朗報だが、一部の大手銀は消費者向け融資のうち何件が不良債権化したかについて、年末あるいは来年初めまで把握できなくなる可能性がある。
バンク・オブ・アメリカ(バンカメ) (N:BAC)のポール・ドノフリオ最高財務責任者(CFO)は16日、「クレジットカード関連損失の大半は(返済猶予)策終了から180日後まで数字に表れない見通しだ」と説明。「損失が大きく膨らむのは21年になるだろう」とした。
バンカメ、JPモルガン・チェース (N:JPM)、シティグループ (N:C)、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ) (N:WFC)の各行は、新型コロナ感染拡大を受けて今春に導入した返済猶予策を延長。顧客には延滞料がかからず、信用情報も残らない。
ロイターの推計によると同4行は計330億ドルの貸倒引当金を計上した。
銀行幹部らによると、返済猶予を申請した顧客の多くは、政府からの給付金や失業手当などで資金を獲得できたため、第2・四半期中の返済ができた。ただ、これらの支援策がなくなると、多くの顧客は経済的に一段と厳しい決断を迫られるだろうとアナリストは指摘する。
JPモルガンは、3月初旬以来、口座残高が800億ドル近くに上る170万件の口座を対象に返済猶予を認めた。CFOによると、その大半は第2・四半期に少なくとも1回の返済を行ったが、多くは返済猶予を再申請し、その結果、クレジットカードの場合で少なくとも1回の猶予が認められたという。
バンカメは3月中旬以来、クレジットカード口座を中心に180万件の口座を対象に返済猶予を認めた。7月9日時点で残高の合計が約300億ドルの170万人の顧客が返済猶予をなお受けている。