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日経平均は3日続落、「波乱の夏」?いや「こう着の夏」?

発行済 2020-08-07 12:26
更新済 2020-08-07 12:41
© Reuters.  日経平均は3日続落、「波乱の夏」?いや「こう着の夏」?
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 日経平均は3日続落。

144.53円安の22273.62円(出来高概算5億7000万株)で前場の取引を終えている。

 6日の米株式市場でNYダウは5日続伸し、185ドル高となった。

週間の新規失業保険申請件数が3週間ぶりに減少し、労働市場回復への期待が広がった。

また、トランプ大統領が失業給付金や家賃未払いによる立ち退き猶予の延長を含む大統領令を策定しているとの報道や、国務省による海外渡航禁止勧告の解除なども好感された。

アップルやフェイスブックといった主力ハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は連日で過去最高値を更新。

本日の日経平均も15円高と小高くスタートしたが、寄り付き直後にはマイナスへ転じ、この日の安値圏で前場を折り返した。

3連休を控えた週末で、米国で7月雇用統計の発表が予定されていることもあり、積極的な買いは入りづらかった。

 個別では、資生堂 (T:4911)やSUMCO (T:3436)、ニコン (T:7731)が決算を嫌気して急落。

レーザーテック (T:6920)が下げ足を速めているが、競合参入の可能性を警戒した売りが続いているようだ。

東エレク (T:8035)やアドバンテス (T:6857)といった半導体関連株も軟調ぶりが目立つ。

また、ダイワボウHD (T:3107)や日ユニシス (T:8056)が東証1部下落率上位に顔を出している。

一方、市場予想を上回る大幅増益決算となった任天堂 (T:7974)が売買代金トップで2%超の上昇。

スクエニHD (T:9684)や島津製 (T:7701)は決算を好感して急伸し、投資判断引き上げの動きが観測されたディーエヌエー (T:2432)やルネサスも大幅高。

また、Jリース (T:7187)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。

 セクターでは、非鉄金属、化学、金属製品などが下落率上位。

半面、鉱業、空運業、その他製品などが上昇率上位だった。

東証1部の値下がり銘柄は全体の55%、対して値上がり銘柄は39%となっている。

 米国株が前日まで5連騰し、ナスダック総合指数に至っては連日で最高値を更新しているにもかかわらず、日経平均は週末にかけて軟調な展開となっている。

前述のとおり3連休や米雇用統計の発表が控え、様子見ムードのなかで目先の利益を確定する売りが出やすいところではあるだろう。

半導体関連などの値がさグロース(成長)株が軟調なことも日経平均を押し下げている。

日経平均の日足チャートを見ると、22500円台前半に位置する25日移動平均線に上値を抑えられる形で、22400円近辺に位置する5日移動平均線をやや下回ってきた。

 売買代金上位は決算を受けた個別物色の様相を呈している。

その他では半導体関連の軟調ぶりが目立つ一方、投資判断引き上げ観測を受けた決算評価の買い継続や、好業績が相次ぐゲーム関連株での物色の広がりも見られる。

業種別騰落率は出遅れているバリュー(割安)株のリバーサル(株価の反転上昇)を感じさせるものの、商品関連セクターの一角は軟調で、一様の動きとはなっていない。

相対的に業績堅調なトヨタ自を除く自動車株、金融株などの株価チャートを見ると、本格的な出直りを感じさせるとは言えない。

 一方、新興市場ではマザーズ指数が続伸。

決算が評価されたメルカリ (T:4385)は13%を超える上昇となり、昨年6月の上場時以来、1年以上ぶりに節目の5000円台を回復している。

日経平均の押し下げ役となっているグロース株の軟調ぶりが印象的だが、それは半導体関連や内需関連の話。

米ナスダック市場で見られるとおり、IT・インターネットサービスセクターへの期待は根強く、相応の好決算も観測されている。

 アジア株式市場でも中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が軟調。

前引けの東証株価指数(TOPIX)は0.23%の下落となっており、日銀による上場投資信託(ETF)買い実施は期待しづらい。

積極的に売り持ち高を積み上げようとする動きも出てきにくいとは考えられるが、後場の日経平均は引き続き軟調な展開になるとみておきたい。

 なお、3連休前の本日は決算発表のピークで、日本郵政 (T:6178)、SMC (T:6273)、ゆうちょ銀行 (T:7182)、東京海上 (T:8766)など700社以上が予定している。

また、度々述べているとおり米国では7月雇用統計の発表が予定されている。

現時点の市場予想コンセンサスは非農業部門雇用者数が前月比150万人弱の増加(前月は480万人の増加)、失業率が10.6%(同11.1%)程度。

米労働市場の回復の鈍さが意識されつつあるなか、7月の動向は注目されるだろう。

 さて、今週の日経平均を振り返ると、前週末の22000円割れから急ピッチの切り返しを見せたものの、週半ば以降は22000円台後半での上値の重さを改めて感じさせる動きだった。

米株高は海外投資家のセンチメントにプラスに働くだろうが、ドルの先安観(円の先高観)が根強く残り、日米株のパフォーマンスに格差が出てくるのはやむを得ないだろう。

今回の決算を受けて米国株の予想1株当たり利益(EPS)が増額傾向にある一方、日本株では減額傾向にあることもパフォーマンス格差の一因として指摘されている。

 また、需給的には22000円割れ局面での個人投資家の押し目買い意欲が強いことが再確認されたが、売り目線の個人投資家や海外投資家もなお多い。

8月は大方の予想する「波乱相場」でなく、「こう着相場」となる可能性が高いかもしれない。

このあたりの話はまた次回としたい。

(小林大純)

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