日経平均は続落。
124.32円安の22972.43円(出来高概算4億6000万株)で前場の取引を終えている。
週明け17日の米株式市場でNYダウは反落し、86ドル安となった。
ニューヨーク地区連銀製造業景気指数が市場予想を下回ったほか、追加経済対策を巡る協議の難航や米中対立の激化も懸念され、景気敏感株を中心に売りが出た。
一方で半導体のエヌビディアを中心としたハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は過去最高値を更新。
米国株が高安まちまちとなるなか、本日の日経平均は1円高と小動きでスタートしたが、円相場が1ドル=105円台後半と円高方向に振れると弱含みの展開となった。
前日と同様に薄商いのなか散発的な売りに押される格好となり、前場中ごろには節目の23000円を割り込み、22948.89円(147.86円安)まで下落する場面があった。
個別では、三菱UFJ (T:8306)などのメガバンク株や日立 (T:6501)、キヤノン (T:7751)が2%超の下落。
大型バリュー(割安)株の軟調ぶりが目立つが、ソフトバンクG (T:9984)やソニー (T:6758)もさえない。
また、筆頭株主の株式譲渡を発表したグレイス (T:6541)や今期赤字見通しのビジョン (T:9416)が東証1部下落率上位に顔を出している。
一方、米半導体株高を受けて東エレク (T:8035)やレーザーテック (T:6920)が買われ、ゲーム需要増加が見込まれている任天堂 (T:7974)は5日続伸。
米アマゾン系との提携拡大を発表したトヨタ自 (T:7203)は小幅ながらプラスとなっている。
エムスリー (T:2413)は3%の上昇で実質的な上場来高値を更新。
オイシックス (T:3182)は商いを伴って急伸し、連日のストップ高を付けている。
セクターでは、鉱業、空運業、銀行業などが下落率上位。
半面、小売業、食料品、その他製品などが上昇率上位だった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の61%、対して値上がり銘柄は35%となっている。
日経平均は連日で3ケタの下落となり、節目の23000円を割り込んで前場を折り返した。
日足チャート上では23090円近辺に位置する5日移動平均線も下回り、目先的な調整を意識させるかもしれない。
企業の4-6月期決算発表やオプション7月物の特別清算指数(SQ)算出といったイベントを通過し、今週に入ると東証1部の売買代金は大きく減少。
本日も前引け時点で8000億円弱にとどまっている。
積極的な買いの手掛かりが見出しにくいなか、国内外の景気の先行きや米中対立への懸念がくすぶり、小口の売りが株価をじりじりと押し下げる格好だろう。
前日の先物手口では、ドイツ証券やクレディ・スイス証券といった外資系証券の売り越しが観測されている。
売買代金上位では、米長期金利の伸び悩みやナスダック総合指数の高値更新を受けてややグロース(成長)株優位といったところか。
当欄で従前指摘したとおり、短期的な資金循環や需給要因で米長期金利に上昇圧力がかかっても、ある程度の水準まで上昇するとイールドハンティング(利回り追求)的な動きが抑制要因として働くと考えられる。
こうした低金利環境とコロナ禍でのニューノーマル(新常態)を追い風に、ナスダック総合指数が再び高値を取ってくるのも想定内だ。
とはいえ、任天堂やエムスリーの堅調ぶり、トヨタ自の底堅さを見るにつけ、やはりグロースやバリューといったファクター効果のみを見るのでなく、「個別に買える企業を選別する」動きが決算発表を通過して強まってきた感がある。
トヨタ自はコロナ禍中においても、モビリティーの将来を見据えた手を打ってきている。
中期的には株価純資産倍率(PBR)1倍水準回復も通過点に過ぎないだろう。
また、新興市場ではマザーズ指数が大幅に4日続伸し、取引時間中の年初来高値を更新してきた。
新興企業の4-6月期決算は、ネットショップ作成支援のBASE (T:4477)など「ウィズコロナ」「アフターコロナ」下での新興企業の躍進を感じさせるものが少なくなかった。
BASEは買いが一巡すると利益確定売りに押されているが、新興株の循環物色は続いている。
前場のマザーズ売買代金は既に1500億円を超えており、個人投資家の新興株物色意欲は旺盛だ。
アジア株式市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数が小動き。
東証株価指数(TOPIX)は0.45%の下落で前場を折り返しており、日銀による上場投資信託(ETF)買いが実施されるかは見通しづらい。
円相場の上昇基調が続いている点もやや気掛かりで、海外短期筋の株価指数先物売りが散発的に出そうだが、中長期志向の実需筋などからの売りは従前ほど出ないかもしれない。
この点については明日にも当欄で説明したい。
後場の日経平均は軟調もみ合いが続くと予想する。
(小林大純)