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安田倉庫 Research Memo(7):2021年3月期第2四半期各利益は期初計画を超過、通期見通しも据え置き

発行済 2020-12-09 15:07
更新済 2020-12-09 15:41
© Reuters.  安田倉庫 Research Memo(7):2021年3月期第2四半期各利益は期初計画を超過、通期見通しも据え置き

■業績動向1. 2021年3月期第2四半期の業績動向安田倉庫 (T:9324)の2021年3月期第2四半期の業績は、営業収益22,868百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益1,611百万円(同12.4%減)、経常利益2,086百万円(同7.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,350百万円(同11.8%減)となった。

また、セグメント別業績※では、物流事業が営業収益19,962百万円(同1.9%増)、セグメント利益1,524百万円(同8.1%減)、不動産事業が営業収益3,157百万円(同20.9%減)、セグメント利益1,082百万円(同7.0%減)となった。

一方、期初計画比では、営業収益で5.1%の未達になったものの、営業利益で61.2%、経常利益で43.9%、親会社株主に帰属する四半期純利益で36.4%の超過達成となるなど、コロナ禍にもかかわらず想定以上に順調に進捗したと言うことができる。

※セグメント別業績は、営業収益、セグメント利益ともに連結調整前の数値。

経済環境としては、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により国内外ともに悪化、企業収益と個人消費がともに急速に減小することとなった。

このため、倉庫物流業界は国内貨物・輸出入貨物ともに荷動きが鈍化し、不動産業界は都市部オフィスビルの解約や減床などにより空室率に上昇傾向が見られるなど、2020年5月をピークに両業界とも非常に厳しい環境となった。

しかし、緊急事態宣言が解除された同年5月25日以降、業種による差はあるものの、倉庫物流業界は少しずつ回復の兆しが見えている。

一方で不動産業界は、同年9月現在、空室率が下がる気配はない。

このような環境のもとで同社は、物流事業では、付加価値の高いロジスティクス・サービスを提供することで取引拡大を目指すとともに、物流施設の拡充など事業基盤強化を図った。

不動産事業では、既存施設の適切なメンテナンス及び機能向上推進により、稼働率の維持・向上に努めた。

2021年3月期第2四半期の営業収益は、物流事業が増収となった一方で、不動産事業が減収となった。

物流事業では、倉庫施設の拡張や新設などによる保管料の増加、前期に子会社化した大西運輸による陸運料の増加があったものの、コロナ禍の影響などにより倉庫作業料や国際貨物取扱料が減少した。

サービス面で言うと、海外・国際物流サービスは、好調な越境EC航空貨物や設備輸出の再開など海上輸送が好転しつつあるものの全体的には厳しい状況が続いている。

また、メディカル物流サービスは新拠点への入居は好立地や高付加価値サービスが評価されて順調だったものの、ITキッティングサービスは国際会議の中止や延期の影響を受けた。

一方、不動産事業では、業界の傾向と異なり、好立地を背景に高い稼働率と不動産賃料収入を維持したものの、前期に発生した大規模施工工事の反動で減収となった。

2021年3月期第2四半期のセグメント利益は、両事業ともに減益となった。

物流事業は、倉庫施設の拡張や新設による保管料の増加や大西運輸による陸運料の増加、一部取引条件の見直し、期初にスタートしたコスト構造改革などによる利益の押し上げ効果があったものの、荷動き低迷の影響に加え新規施設の稼働による借庫料や減価償却、租税公課などの増加により減益となった。

不動産事業も、適正賃料への改定もあり収益環境は業界全体に比べ良好だったものの、大規模施工工事の反動により減益となった。

なお、営業収益は期初計画未達となったものの、営業利益以下の各利益が期初計画を超過達成した要因としては、施設の稼働率向上による保管料の増加やコスト構造改革の推進が挙げられる。

2. 2021年3月期の業績見通し2021年3月期の業績見通しについては、営業収益50,000百万円(前期比7.2%増)、営業利益2,500百万円(同28.0%減)、経常利益3,450百万円(同22.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,370百万円(同19.6%減)を見込んでいる。

第2四半期での各利益が超過達成となったものの、通期業績見通しは据え置いている。

新規施設の稼働やサービス拡充による新規取引開始や既存取引拡大、各営業所における取引条件の見直し、大西運輸の子会社化、コスト構造改革などによる収益貢献は下期も見込まれる。

しかし、コロナ禍再拡大により事業環境が再び悪化するリスクがあることに加え、辰巳倉庫開設に関わる先行費用や修繕費の期ずれ、本社移転などの営業費用の増加を考慮したと考えられる。

とはいえ、第2四半期での営業利益が期初計画を超過達成したことや、2021年3月期を通じて取引の拡大が図られていることなどを考えると、やや保守的な予想という印象である。

3. 中期成長イメージ現状、大規模な不動産の再開発や新規開発が予定されていないことから、不動産事業は当面、既存不動産のメンテナンスが中心となると思われる。

したがって、中期経営計画「YASDA Next 100」は、物流サービスがけん引する前提になっていると弊社では想定している。

なかでもメディカル物流サービスやITキッティングサービスといった、ソリューション色の強いサービスへの期待は大きい。

特にメディカル物流サービスは、東京都江東区東雲及び辰巳の新物流拠点稼働に加え医療機器メーカーからの取引要請も少なくないようで、収益への貢献が最も大きくなるジャンルと考えられる。

大手物流企業の参入には同社も危機感を持っているが、今後も引き続き施設開発を進めていくことが予想され、同社の実績とノウハウ、受け入れ態勢を考えると、メディカル物流サービスが同社の成長ドライバーとなると思われる。

ITキッティングは同社の独自性が強い分野であることから、今後も安定的に伸びると予想される。

なお、景気や競合などによる需要のボラティリティに対しては、物流施設を賃借することで機動的に展開することを検討しており、2020年10月及び11月には、「大阪営業所 南港倉庫(新設:GLP大阪内一部区画、延床面積2,612坪)」、「大黒流通センター(増床:横浜港国際流通センター内一部区画、延床面積1,294坪)」をそれぞれ新設と増床している。

一方で、M&A検討の専属組織である「戦略企画部」の新設を見ると、成長戦略としてM&Aによる規模拡大も積極的に考えているようだ。

利益面では、コスト構造改革の効果がさらに期待されるものの、各分野とも当初は先行的に投資や費用が嵩み、3年目を目途に大きく伸びるというイメージを持っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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