■テクマトリックス (T:3762)の今後の見通し2. 中期経営計画「GO BEYOND 3.0」の進捗状況2019年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画「GO BEYOND 3.0」では、「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」と「セキュリティ&セイフティ（安心と安全）の追求」という前中期経営計画の事業戦略を踏襲しつつ、新たに「事業運営体制の多様化」「サービス化の加速」「データの利活用」「BtoCへの参入」「海外市場での事業を加速」「事業運営基盤の強化」「M&A」の7つのテーマを掲げて、その取り組みを進めてきた。
2年間を終えた同社自身の評価ではおおむね順調であるとの認識であり、直近半年間についてもコロナ禍で国内景気が悪化し、IT業界で翳りの見え始めた分野があるなかでも実質2ケタ台の増収増益を達成したことは、同社のこれまでの取り組みの成果として評価される。
3ヶ年の業績目標においては、既に2020年3月期時点で最終年度の目標値を超過している。
事業セグメント別で見れば情報基盤事業が売上、利益ともに目標を上回り、アプリケーション・サービス事業については売上高で超過したものの、利益面では未達となっていた。
ビジネスソリューション分野における事業構造転換の遅れが主因だ。
ただ、2021年3月期にはアプリケーション・サービス事業も当初の目標を達成する見通しとなっている。
同社は2022年3月期から新中期経営計画に入ることになるが、基本戦略については大きく変わらず、従来の戦略を踏襲していくことになると予想される。
情報基盤事業においては年々高度化するサイバー攻撃に対応するための技術開発の進展やクラウドシフトへの対応などを背景に、ネットワーク・セキュリティサービスの需要は今後も拡大基調が続くものと予想される。
特に、官公庁や自治体で今後、情報インフラシステムの統一化、並びにクラウド化が進むものと見込まれており、豊富な実績を持つ同社のビジネスチャンスも広がっていくものと期待される。
一方、アプリケーション・サービス事業では医療分野での成長が期待される。
AIによる画像診断支援サービスやコンシューマ（患者）用PHRサービスについては始まったばかりだが、潜在的なニーズは大きいと見られ、中長期的に同社の収益に貢献するものと期待される。
また、両事業セグメントともにストック収入の売上比率が50%を超えていることから収益基盤の強化は進んでおり、2022年3月期以降も業績は安定成長が続くものと弊社では予想している。
（執筆：フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲）