■中長期の成長戦略萩原電気ホールディングス (T:7467)は中期経営計画として、「2018年度中期経営計画」を発表している。
数値目標として2021年3月期に売上高1,300億円、営業利益43億円、ROE8.5%以上を掲げていたが、コロナ禍の影響もあり目標未達の予想としている。
しかしながら、定性的目標は遂行する予定としている。
以下は現在の取り組み状況である。
1. 経営理念と中期経営ビジョン(1) 経営理念:創造と挑戦創造と挑戦によって、すべてのステークホルダーから選ばれる企業グループとなる。
(2) 中期経営ビジョン先進エレクトロニクスのワンストップソリューション・グローバルサプライヤーを目指す。
(3) 注力領域萩原エレクトロニクス(株)ではCASE領域、萩原テクノソリューションズ(株)ではIoT領域に注力する。
(4) 中期経営方針自動車関連事業をコア事業とする。
基本戦略は、萩原エレクトロニクスでは集中戦略、萩原テクノソリューションズではポートフォリオ戦略を推進する。
主要方針として、「新規事業の拡大」「ソフトウェア事業の拡大」「海外事業の拡大」の3点に注力する方針を掲げる。
具体的には、技術部門主導による事業会社間のリレーションシップ強化とシナジー創出に注力する。
併せて、グループ経営基盤の強化による中長期的企業価値の向上も目指す。
2. 中期経営計画の取り組み状況:新規事業の拡大(1) 萩原エレクトロニクス画像ビジネスでの建機分野への拡大を推進する。
具体的には、測距システム、サラウンドビューシステム、AIカメラ等、ソリューションの拡大に加え、パートナーリンクによる販路の確立と拡大を目指す。
また、自動運転システム開発向け走行データ活用サービスを開始する。
自動運転システム開発における仮想環境での危険運転シミュレーションに向け、走行データの収集・蓄積と危険シーンのシナリオを作成し、提供する。
(2) 萩原テクノソリューションズERPソリューションの更なる拡大を目指す。
新たな領域であるERP領域にて基幹システム構築を受注しており、本システムの横展開として現在、2社に提案中である。
また、パートナーコラボも継続して進行中である。
パートナーの要素技術×同社の組込ハードウェア開発力によるオリジナル製品の創出など、パートナーとのビジネス共創による高付加価値ビジネスに注力する。
また、計測分野におけるメカトロニクス全般への領域拡大に向け、搬送系装置を中心とした特殊装置の専門パートナーの拡充による内製ビジネスの強化を推進する。
3. 中期経営計画の取り組み状況:ソフトウェア事業の拡大同社の特徴を生かしたビジネスへの集中・拡大を目指し、「AUTOSAR関連受託」「PoC開発受託」「モデルベース開発受託」を拡大するとともに、「VehicleOSに対する取り組み」を開始している。
「AUTOSAR関連受託」では、AUTOSAR Classic PlatformのMCAL/BSW検証業務が着実に実績を積み上げている。
また、AUTOSAR Adaptive Platformの開発に参画し、検証作業領域を中心に業務を拡大している。
「PoC開発受託」では、MaaS領域で要件定義からソフトウェア/ハードウェアまで開発していることに加え、運転支援領域でもTier1からのPoC開発を継続して受託している。
なお、2020年4月に立ち上げたPoC開発受託専門チームによる受託は想定以上に拡大しているとのことである。
「モデルベース開発受託」では、先行開発、要素技術開発領域で使用される開発ツールと連携したエンジニアリングサービスを展開している。
また、モデルベース開発を活用した仮想評価環境を構築し、顧客の開発期間短縮に貢献している。
「VehicleOSに対する取り組み」については、SoCを軸とした開発環境構築の支援活動中であり、今後は受託への展開を狙う。
併せて、VehicleOSに関連したソフトウェアビジネスの探索も開始している。
4. 中期経営計画の取り組み:海外事業の拡大2020年3月期にインドでの営業を開始したことに続き、萩原テクノソリューションズ傘下で中国事業会社を設立し、2020年9月1日に営業を開始した。
商号は萩原電子設備(上海)有限公司(Hagiwara Techno Solutions(Shanghai)Co., Ltd)で、中国の日系製造業市場におけるIT・ソリューション事業を行う。
なお、資本金は1億円で、株主構成は萩原テクノソリューションズ100%となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)