[東京 20日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は20日の記者会見で、システム障害により傘下のみずほ銀行とみずほ信託銀行で窓口での取引ができない状態となっていたことについて「極めて重く受け止めている」と述べた。みずほ銀のシステム障害は今年に入って5度目。
坂井社長は、相次ぐシステム障害に対する経営責任を問われ「これからさらにより強固な再発防止策にする必要がある。それをしっかりすることが責任のあり方」との認識を示した。
みずほ銀とみずほ信託銀では19日午後9時前、勘定系システム「MINORI」の業務システムのハードウェアに障害が発生した。復旧作業を進めていたが、20日の開店後しばらく、預金の入出金や振り込みなどを含む店頭での取引ができない状態になっていた。午前10時前に外国送金など一部を除いて復旧し、正午ごろ全面復旧した。
バックアップ切り替えも機能せず、会見に同席したみずほ銀の藤原弘治頭取は「ベンダーの協力を得て、しっかりと原因追求したい」と述べた。
藤原頭取は顧客に影響が出たのは「痛恨の思い」とし、「しっかり反省して次に生かしていきたい」とも語った。
みずほ銀は今年2月から3月にかけ、4度のシステム障害を起こした。これを受けて外部の識者・専門家で構成される第三者委員会を設置。危機管理担当役員の設置や組織内での階層の簡素化などの再発防止に取り組む中で再度障害が発生した。藤原頭取は再発防止策が「いま一度十分なものかしっかり洗い直す必要がある」とした。
藤原頭取を巡っては、4月1日付でみずほ銀頭取を退任し、会長に就く人事が決まっていたが、システム障害の再発防止に取り組むため、会長就任を見送った経緯がある。
坂井社長は今後の人事について「再発防止が最優先のグループの課題。再発防止にめどがついたら必要な人事は適切に対応していく」と述べた。
日本経済新聞電子版によると、金融庁は報告徴求命令を出すことも視野に、詳しい経緯をみずほ側から聞き取る方針。復旧に半日以上かかったことを重くみており、障害の要因や経緯などを詳しく調べるという。
加藤勝信官房長官は20日の会見で、みずほのシステム障害について、「2-3月にかけて4回障害を起こし個人、法人の利用者に大きな影響を及ぼしている」と指摘。「金融機関の信頼を大きく損なうものであり、誠に遺憾だ」と語った。