[モスクワ 20日 ロイター] - 17─19日に投票が行われたロシア下院(定数450)選挙は、プーチン政権の与党・統一ロシアが議席の3分の2以上を確保し、勝利した。プーチン氏は1999年から大統領もしくは首相の立場で政権を主導。2024年の次期大統領選を視野に入れ、他の政党の力を借りずに政権運営を継続する。
中央選管によると、開票率99%以上の時点で統一ロシアの得票率は約50%。統一ロシアは勝利したものの、得票率は前回2016年の選挙(54%)から低下した。
2位の共産党は19%弱。自由民主党と「公正ロシア・真実のために(公正ロシア)」は共に約7.5%。3党とも主要な政策でクレムリンを支持することで知られている。
新党「新しい人々」は5%強を獲得。初めて下院で議席を得る見通しだ。共産党の議席増と新党の躍進は、与党への批判票が増えていることを示した。
選挙結果を受けペスコフ大統領報道官は、統一ロシアが引き続き与党の役割を果たしていくことを確認したと表明。「共産党が躍進し、新党も得票率を伸ばした」と述べ、選挙は公正に行われたとの見解を示した。
これに続きプーチン氏は、有権者に感謝するとの短いコメントを発表。国営テレビが伝えた統一ロシアの党本部での祝賀集会では、プーチン氏に近いモスクワ市長のセルゲイ・ソビャニン氏が観衆に向かって「プーチン!プーチン!プーチン!」と叫び、観衆もそれに呼応した。
ただ、統一ロシアの支持後退の背景には、何年にもわたる生活水準低下への不満や汚職疑惑などがあり、反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の陣営による「戦術的投票」(勝利の可能性が最も高い候補に票を集中する手法)の呼び掛けも影響したとみられる。
反体制派は、選挙前に政権がナワリヌイ陣営の活動を違法とし、関係者の立候補を禁止したほか、政権に批判的なメディアや非政府組織なども締め付けの標的にしたことに触れ、選挙が公正に実施されていれば統一ロシアの票ははるかに少なかっただろうと指摘した。
モスクワに本拠を置く共産党員の一部は、選挙は公正に行われなかったとして20日夕にモスクワで抗議集会の実施を呼び掛けているほか、ナワリヌイ氏の支持者、リュボフ・ソボル氏は「膨大な数の選挙違反が行われた。今回の選挙結果を公正で合法的なものとと見なすことはできない」と批判。ソボル氏は立候補を目指したものの、政権がナワリヌイ氏の支持者を「過激派」に指定したことで、立候補が阻まれた。