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アングル:米で11歳以下へのワクチン接種に道、親たちの希望とためらい

発行済 2021-09-26 07:55
更新済 2021-09-26 08:00
© Reuters.   9月22日、米国で新型コロナウイルスから子どもたちを守りたいと切望していた多くの親にとって朗報が舞い込んだ。写真は13日、学校に投稿する児童ら。ニューヨーク市ブルックリ

[22日 ロイター] - 米国で新型コロナウイルスから子どもたちを守りたいと切望していた多くの親にとって朗報が舞い込んだ。ファイザーとビオンテックが20日、5─11歳を対象とした新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)結果で、有効性を期待できる強い免疫反応と安全性を確認したと発表したからだ。両社はできるだけ早く規制当局に、12歳以上の3分の1に当たる10マイクログラムという低容量での使用許可を申請する方針だ。当局側の見通しでは、10月末にもこうした使用が認められる可能性がある。

サンフランシスコ市郊外のオールバニーで暮らす、3人の子どもの母親であるリー・スミザーズさん(43)もその1人。理想を言えば、もっと長期的な治験結果を見てから10歳の男の子にワクチンを接種させたい気持ちがある。しかしこの男の子は若年性糖尿病を患っており、新型コロナウイルスに感染すれば病状がより深刻化する危険があり、許可が下り次第ワクチンを打たせるつもりだ。

スミザーズさんは「私は親として子どもたちの体に入る食べ物やその他全ての物質を気にかけている。でも彼の安全を確保するにはワクチン接種が最善の選択肢に思える」と打ち明けた。

米国では新学期の始まりと重なる形で、感染力の強いデルタ株が拡大。小さい子どもの間にも感染が広がり、そのうちの多くが入院したほか、何千もの学校が数日ないし数週間の閉鎖を余儀なくされている。

一部の親は、子どものワクチン接種にためらいを見せている。まだ大規模な治験が行われておらず、子どもへの影響に関する長期データも存在しないというのがその理由。全米で5─11歳の子どもは約2900万人に達する。

コロラド州デンバー地区の小児科医シェン・ナーゲル氏は「多くの親は自身でワクチンを打っているし、彼らの子どもも別の全てのワクチンは接種してきた。だが新しいワクチンについては懸念している。親たちの間には、子どもは感染しても重症化しないという思い込みもある」と説明した。

カイザー・ファミリー財団が8月に公表した世論調査によると、5─11歳の子どもを持つ親の約4割は、新型コロナウイルスワクチンの働きを「見極めて」から子どもにワクチンを打たせるとの見方を示した。ワクチンを「間違いなく打たせない」と「すぐに打たせる」の回答はいずれも25%だった。

ただロイターの取材に応じた小児科医や公衆衛生専門家らは、時間の経過とともに親たちのワクチンに対する抵抗は弱まりつつあるようだと話す。

デンバー地区の別の小児科医ナンシー・ラテティス氏は、ワクチン接種に消極的だった親の中でも、学校の混乱を避ける唯一の手段がワクチンだと気づく人たちが出てきたと指摘。「学校が隔離措置や休校に動き、親たちには感染した教師の話が聞こえてきている」という。

ニューヨーク市に住むジル・ゴールドスタインさん(50)は、新学期2日目で早くも8歳の娘の登校を中止しなければならなくなった。別の生徒に陽性反応が出て、教室全体が10日間の隔離を求められたためだ。

ゴールドスタインさんは、娘にワクチンを受けさせる考えだが、同時に「真っ先」には動かないかもしれないと認める。「メリットがリスクより大きいと確信したい。娘だけでなく地域社会にとってメリットがあるとは理解しているし、それも十分考慮に入れている」と語った。

<信頼感>

米国で2番目に大きい学区を抱えるロサンゼルス市は、既に12歳以上の子どもにはワクチン接種を義務付けている。もっとも連邦政府のデータに基づくと、12─15歳のうちワクチンを少なくとも1回接種した割合は50%強と、他のどの接種対象年齢層よりも低い。

米国小児科学会で感染症部会の副部会長を務めるショーン・オレアリー氏は、子どもの重症化や死亡リスクは相対的になお低いとはいえ、新型コロナウイルスによる死者は500人近くに上り、小児の死因トップ10に入ってきたと警告する。

感染者数が多い一部地域では、小児科病棟にも患者があふれ返っている。オレアリー氏は、ワクチンが特に子どもに対してリスクをもたらすと想定する理由は見当たらないと強調。「新型コロナウイルスワクチンは過去のどのワクチンよりも恐らく安全性の評価が行われてきた」と述べ、これまでワクチンが長期にわたる副作用を伴ったケースはないと付け加えた。

もちろん、ワクチンが子どもに何らかのまれな副反応を引き起こす可能性があり、そうした副反応が比較的小規模な治験で検知できない恐れは残っている。だがそれはワクチンを避ける根拠にはならない、とカリフォルニア大学バークレー校公衆衛生大学院の伝染病研究を統括するアーサー・レインゴールド氏は主張する。

同氏は「人々は『より多くの事後点検、より多くの治験がほしい』と口にする。それは全く論理的で妥当であると同時に、求められても絶対不可能だ」とくぎを刺した。

ニューヨーク市ブルックリンのジャーナリスト、アドリエンヌ・デイさんは7歳の娘にワクチンを打たせる考えをはっきりさせており、科学的な裏付けを信頼していると話す。「私にとっては、はしかやおたふくかぜ、風疹、インフルエンザのワクチンのようなものだ」と全く気にするそぶりは見えない。

(Joseph Ax記者、Sharon Bernstein記者)

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