[ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は、10月4日に米ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を正式承認するかどうか判断する。ただ対象者の範囲など細かい指針は示されそうにない。EMAの内部文書や2人のEU高官の話で明らかになった。
科学者の間では、3回目接種が必要なのかについて見解はまったく一致していない。それでも米、英、イスラエルは既に接種にゴーサインを出しており、EMAが承認すればEU加盟27カ国がこれに続く形になる。
EMAのクック長官は28日、欧州議会議員との内部会合で「ファイザーのワクチンの一般向け3回目接種が必要かどうかについてEMAが10月4日に見解を発表する」と述べた。ロイターが会合の議事録内容を確認した。
既にEUの十数カ国はEMAの判断を待たずに3回目接種に乗り出している。ただEMAが「お墨付き」を与えれば加盟国が各国での訴訟リスクを回避しやすくなるため、他の加盟国も冬場のデルタ株抑制に向けて同様の接種を開始するかもしれない。
EMAの意思決定に詳しい2人のEU高官は、来週の決定は3回目接種の安全性と有効性に焦点を当てるもので、接種がどの年齢もしくはリスク集団向けなのかは詳しくは触れないだろうとした。
こうした姿勢は、破傷風など他の感染症に対する追加接種の判断に沿った形になる。またEMAは以前、副反応などを考慮し接種を制限するかどうかはおおむね加盟各国の考えに委ねるとの方針も明らかにしている。
欧州疾病対策センター(ECDC)はコロナワクチンの3回目接種を巡る科学者の意見がまとまっていない理由として、ワクチンを2回接種した人の免疫効果がどのぐらい持続するのかが完全に判明していないからだと指摘した。
それでもEU加盟各国は、3回目接種に備えワクチンの追加調達を進めてきた。5月にはファイザー/ビオンテックのワクチンを最低でも9億回分を購入することに合意。その前の段階で、EUは域内の全人口に接種できる以上のファイザーや他社のワクチンを確保している。