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霞ヶ関キャピタル Research Memo(1):新たな収益モデル採用により2026年8月期に営業利益200億円目指す

発行済 2021-11-12 15:01
更新済 2021-11-12 15:15
© Reuters.
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■要約

霞ヶ関キャピタル (T:3498)は、「不動産コンサルティング事業」と「自然エネルギー事業」を主軸に展開する企業である。
オフバランス化することで不動産を保有しない「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と、ストック収入による安定収益基盤に成果報酬によるアップサイドを加えた「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という、独自のビジネスモデルを構築している。
同社の強みは、激動期を乗り切る柔軟な戦略と、それを実現する豊富な人材や資金を有していることであると言えよう。


1. 2021年8月期の業績概要
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で経済活動が制限されるなか、同社の2021年8月期連結業績は、売上高14,295百万円(前期比78.5%増)、営業利益1,328百万円(同306.9%増)の大幅増収増益となり、売上高・利益ともに過去最高を記録した。
また、2021年8月に発表した修正予想に対しては、売上高が0.7%、営業利益が6.3%上回って着地した。
同事業の立上げを実施し、物流施設開発用地(4件)の売却が収益に大きく寄与した。
物流施設開発事業の組織体制立上げに係る人材採用は一巡したものの、人員増に伴うオフィス増床等の費用や案件関連の費用が増加したことに加え、物件の仕込みが想定以上に順調に進んだ結果、金融費用が増加した。
以上の結果、自己資本比率は32.1%(前期末比13.6ポイント減)に低下したものの、引き続き東証1部不動産業平均並みの高い安全性を確保している。
また、ROAは8.8%、ROEも18.2%と、収益性でも東証1部不動産業平均を上回っている。
なお、好決算を反映し、株式分割考慮後の1株当たり配当を前期比10.0円増配の20.0円としたほか、株主優待制度も継続するなど、株主還元にも十分に配慮していると評価できよう。


2. 事業別の取り組み
同社は独自のビジネスモデルを展開するとともに、注力する事業分野を機動的に変更してきた。
今後の企業活動や人々の生活様式の変化を見据えて、2020年6月より物流施設開発事業を立ち上げた。
2021年8月期は着工済/竣工済が4件、計画中/開発中が7件など、短期間で急成長しているほか、物流ブランド「LOGI FLAG®」を設立し商標を登録した。
また、アパートメントホテル開発事業でも、着工済/竣工済が10件、計画中/開発中が7件(いずれも2021年8月末時点)あり、順調に進捗している。
さらに、再生可能エネルギー発電施設開発事業では、風力発電施設8基を所有し4基を建設予定とするなど、風力発電に注力している。


3. 2022年8月期の業績見通し
今後の経済見通しについて同社は、コロナ禍の収束には未だ不透明感があるものの、国内外のワクチン接種の普及拡大とともに経済活動は徐々に回復していくことを基本シナリオとしている。
2022年8月期の連結業績予想については、売上高18,500百万円(前期比29.4%増)、営業利益1,850百万円(同39.2%増)と引き続き2ケタ増収増益を見込むが、例年同様に保守的な予想と弊社では見ている。
ホテル関連市場では、訪日旅行者の大幅減少や社会経済活動の抑制等の影響から、短期的には急激な回復は難しい状況にある一方で、物流関連市場では、EC(Electronic Commerce:電子商取引)市場の拡大や冷凍冷蔵倉庫に対する高い需要に支えられ、物流施設開発は活況を呈しており、中期的にもこのトレンドは継続すると見込まれる。
加えて、パートナー企業との合弁会社設立などの協業施策等の戦略を活用することで、今後も物流関連市場領域での活動に注力する方針だ。
なお、1株当たり配当金は前期同額の20.0円以上を予定している。
また同社では、東京証券取引所新市場区分として「グロース市場」を選択しているものの、2022年8月期の業績予想を達成すれば「プライム市場」への昇格も視野に入ると弊社では見ている。


4. 中期経営計画
同社は、中期経営計画(2022年8月期~2026年8月期)「霞ヶ関キャピタル2.0計画(KC2.0)」を発表し、最終年度の2026年8月期に営業利益200億円(2021年8月期は13.2億円)、親会社株主に帰属する当期純利益100億円(同7.9億円)を掲げている。
新たな収益モデル「パートナーシップ型(KC2.0)」を物流施設開発事業で採用することで、2025年8月期以降に利益の飛躍的な拡大を目指す。
パートナーと合弁会社(以下、JV)を設立することで同社事業へのリスクを限定的にする一方、開発利益の66%を得られることから、収益化のタイミングは遅くなるが総額は大きくなる見込みだ。
そのほか、物流施設を中心に、アパートメントホテル及び再生可能エネルギー発電施設の3本柱でAUM(着工済・竣工済アセット)を積み上げ、安定収益の拡充を加速化させる。
意欲的な数値目標であるものの、現在の収益材料に基づいた保守的な計画であり、計画期間中に新たな収益材料が現れる可能性もあることから、十分に達成可能な数値であると弊社では考える。


■Key Points
・「戦略的コンサルティング型デベロッパー」と「成果報酬志向型ファンドマネージャー」という独自のビジネスモデルを構築し、「成長性のある事業分野」で「社会的意義のある事業」を展開
・2021年8月期業績は、売上高・利益ともに過去最高を更新。
物流施設開発事業の立上げを実施し、物流施設開発用地の売却が収益に大きく寄与
・2022年8月期業績は、物流施設開発事業への注力を継続することにより、引き続き2ケタ増収増益を見込む
・中期経営計画では、新たな収益モデルによる利益成長により、2026年8月期に営業利益200億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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