[エルサレム 15日 ロイター] - 米半導体大手インテルは、イスラエルの同業タワーセミコンダクターを54億ドルで買収することで正式に合意した。両社が15日発表した。
半導体需要が高まる中、インテルは生産能力と技術を高める狙い。
買収価格は1株当たり53ドルと14日の米ナスダック市場の終値(33.13ドル)を大幅に上回る。
発表によると、両社の取締役会は全会一致で買収を承認した。一部規制当局やタワーセミコンダクターの株主の承認が必要となるが、1年程度で手続きが完了する見込みという。
タワー買収はインテルの非GAAPベースの1株当利益を直ちに押し上げるとみられる。買収は手元資金で賄う方針。
タワーは買収手続き完了後にインテル・ファウンドリー・サービス(IFS)に統合される。
世界的に半導体が不足する中、インテルはパワー買収により、半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)に対抗する。
ノースランド・キャピタル・マーケット社のアナリスト、ガス・リチャード氏は今回の買収について「非常に意味のあることだと思う。(タワーは)今後数年間、供給不足になる可能性が高い技術のファウンドリーだ」と指摘した。
ファウンドリーは、顧客が設計したチップを生産する事業で、インテル社は昨年、この事業に参入すると発表していた。アナリストは当時、取引対象が少ないことが課題となるとの見方を示していた。
インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、インテルとタワーの技術は補完関係にあり、ファウンドリー市場は1000億ドル規模で、今後約10年急成長が見込まれると述べた。
一方、CFRAリサーチのアナリスト、アンジェロ・ジーノ氏は、今回の買収はインテルがファウンドリー事業を発展させるための人材を確保するのに役立つと指摘した上で「ただ、(インテルが)このビジネスを軌道に乗せる頃には、供給制約はもはや問題でなくなる。TSMCもサムスン電子も今後5年間で積極的に生産能力を拡大する」と指摘した。