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パウエル議長の0.25%引き上げ要請、しかしFRBがインフレ対策にさらに遅れをとる可能性

発行済 2022-03-05 06:24
© Reuters

執筆:Yasin Ebrahim

Investing.com -- FRBのパウエル議長は先週、3月の会合で0.25%の利上げを支持する意向を確認したが、0.25%の引き上げではインフレ抑制の取り組みからさらに遅れをとるリスクがあると指摘した。

生命保険会社AllianzのETF戦略責任者Johan Grahn氏は、今週初めのパウエル議長の発言を前に、月曜日のインタビューで「3月の会合での0.25%の利上げは、決して有効な決定だとは思えない。そして間違いなく(ロシア・ウクライナ紛争によって)さらに高まるインフレ・モメンタムに歯止めをかけることにはならないだろう」と述べている。

パウエル議長は議会証言で、3月に25ベーシスポイント(0.25%)の利上げを支持すると述べたが、もしインフレが予想通り今年後半に沈静化しない場合は「複数の会合でそれ以上の引き上げを行う用意がある」と付け加えた。

同氏はまた、ロシアとウクライナの紛争が経済見通しに対して「極めて不確実」な影響を及ぼしているとも指摘した。

ウクライナ危機の結果に関して唯一確定的にいえることは余談を許さないことであるが、FRBにはまだやるべきことがある。それは雇用を最大化し、物価を安定させるという2つの使命である。

2020年、FRBはインフレと労働市場の動向の変化に対応するための枠組みに手を加えた。

この新しい枠組みのもとでは、「労働市場に余剰があるときは雇用が政策決定の重要な決め手となるが、失業率が4%を下回るとこの枠組みは完全に崩れる...」と、Jefferies証券は今年初めのレポートで述べている。

失業率が4%を下回る中、FRBの2つの使命は間違いなく、40年ぶりの高水準である7.5%のインフレ・ペースを抑制することが優先されることになるだろう。

同証券によれば、FRBが3月15-16日に開催する会合に先立って今週発表される消費者物価指数では、2月に8%近くまで上昇すると予想しており、そして「ロシアのウクライナ侵攻はコモディティ価格に大きな変動をもたらし、今後数カ月は間違いなくインフレに上向きの圧力をかけるだろう」とし、今後も高止まりになると思われる。

今週初め、パウエル議長は市場が以前から知っていたこと、即ちFRBはインフレ対策がかなり遅れを取っており、中央銀行が物価上昇圧力の兆候に反応するのが遅すぎたとの認識をしているとういうことである。 

同氏は今週初め、供給サイドの問題がより速いペースで解消されるという中央銀行の狙いが実現しなかったことを認めた上で、「我々はもっと早く手段を講じていただろう」と述べた。

世界的な成長を脅かし、インフレを加速させるウクライナ危機の発生で、FRBは残念ながら暗礁に乗り上げ身動きができないような状態になっている。

インフレ率の高騰で既に景気減速が予想される中、あまりに積極的に利上げすると、その先にはスタグフレーションのリスクが高まる。しかし、慎重な利上げを行えば、大幅な景気後退の際に経済を救う柔軟性を発揮する余地はほとんどなくなる。

「もし、この先、インフレ率の高止まり問題を解決する方法がなければ・・・これは2年後、3年後、あるいは5年後かもしれないが、本当に危険な状態になり得る。短期的な話ではなく、もっと長期間に渡る(スタグフレーション)問題を話している。」

「私の考えでは、我々は既に利上げサイクルのタイミングに遅れているため、FRBが政策金利を維持することが非常に重要だ」とAllianz社のGrahn氏は付け加えた。

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