浦中美穂
[東京 5日 ロイター] - SMBC日興証券は5日、役員らが金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで東京地検に逮捕されたことを受け、近藤雄一郎社長が都内で記者会見し「市場の信頼を揺るがしかねない事態を引き起こしたことを重く受け止め、深く反省している」と陳謝した。
自身の進退については「信頼を回復することが責任」と述べ、引責辞任を否定した。
逮捕者が出たことについて、近藤社長は社内管理体制に甘さがあったとし、「自己勘定取引の公正性を担保するための十分なけん制力が発揮されていたとはいいがたい状況が生じていた」と述べた。
組織的な関与については、捜査中であることを理由にコメントを控えた。ただ、法人の刑事責任を問う両罰規定があり、近藤社長は「(役員らが)起訴となった場合には法人としても法的な責任を追及される。金融商品取引業者として処分の対象となる」と語った。
今回、嫌疑がかけられたブロックオファー取引に関して、近藤社長は、価格が決まる時間帯に自社の自己勘定で対象銘柄を買い付ける行為があったことを認め、「市場の公平性・公正性に疑問を生じさせる可能性がある行動だったことは明らか」として、控えるべきだったとの認識を示した。
近藤社長によると、現在は、ブロックオファー取引の新規案件の取り扱いを停止している。さらに売買審査担当者の人数を22人と2020年末に比べ約6割増やし、自己勘定取引の監視について専門的に監視する組織も立ち上げた。
同社は今回、複数の幹部が逮捕されたことを受け、社外の弁護士からなる調査委員会を設置。ガバナンス面を含めた事実関係を調査し、再発防止に向けた対策をまとめる。