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シンバイオ製薬 Research Memo(4):「トレアキシン(R)」は売上拡大が続く見通し(2)

発行済 2022-05-06 15:14
更新済 2022-05-06 15:15
© Reuters.
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■開発パイプラインの動向

(3) 後発医薬品の影響について
2022年2月、RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品について4社(ファイザー(株)、Meiji Seikaファルマ(株)、コーアイセイ(株)、東和薬品 (TYO:4553))が販売承認を取得したことが発表された。
適応症は、低悪性度NHL/MCL及び腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置の2つで、患者数の多い再発・難治性DLBCLについては今回含まれていない。
とは言え、対象領域の3割強は後発医薬品の影響を受けることになり、2022年6月頃には薬価収載され販売が開始される可能性がある。
ただ、Eagle社ではRTD製剤やRI投与に関する製剤特許や用法特許を複数取得しており、国内で同特許の独占的使用権を有しているシンバイオ製薬 (TYO:4582)は、当該特許権の侵害の懸念について文書によって4社に通告し、適切な対応を要求した。
また、今後特許権の侵害行為が明らかになった場合には、Eagle社と協力して必要な法的手段を講じていく意向であることを表明している。


RTD製剤の製剤特許に関しては、組成物(ベンダムスチン、グリコール、抗酸化剤)の濃度や組成比などを定めている。
後発医薬品4社の組成物については同特許で記されたものとは異なっているものの、それだけで特許を回避できるとは限らず、用法特許なども含めて総合的見地から判断されるようだ。
実際、米国ではMylan (SIX:MYL)他3社がRTD製剤の後発医薬品を販売しようとしたが、2021年8月に開かれた裁判でEagle社の主張が認められ、2031年まで特許が有効であるとの判決が下っている。
とは言え、日本では別の判断がなされる可能性も否定できず、事業リスクとして留意しておく必要がある。
また、RTD製剤/RI投与は新薬創出加算※の対象品目となっており薬価が維持されているが、後発医薬品の販売が開始されれば次の改定年より対象品目から外れることになり、薬価が1割強下落する可能性もある。


※新薬創出加算(新薬創出・適応外薬解消等促進加算)とは、薬価改定時に一定の条件を満たした新薬に与えられる加算のこと。
特許が切れるまで薬価を維持または下がりにくくすることで、革新的新薬の創出や未承認薬・適応外薬の開発を促進することを目的とした制度。



弊社では、後発医薬品の販売が開始されたとしても、適応対象が「トレアキシン(R)」の3割強であることや、急速静注可能なRI投与に切り替わることで製品競争力が大きく向上することなどから、2022年12月期の業績に与える影響は限定的と考えている。
なお、今後の同社の対応方針や業績への影響等については、2022年後半にも明らかになるものと見られる。


(4) 今後の開発方針
「トレアキシン(R)」については、今後も新たな適応症の探索についてアカデミアと共同で研究を進めていくことにしており、さらなる事業価値の拡大に取り組んでいく方針となっている。
具体的には、2021年1月に東京大学医科学研究所と共同研究契約を締結し、AI技術も活用しながら血液がんのみならず固形がんなどその他のがん種での開発の可能性や、他剤との組み合わせによる新たな治療法の創出などの研究に取り組んでいる。
また、同年8月には京都大学とも共同研究契約を締結し、難治性の活性化B細胞型(ABC)-DLBCLへの関与が示唆されている直鎖状ユビキチン鎖生成酵素複合体(LUBAC)に対する阻害作用についての研究を進めている。


2022年1月には東京大学との間で共同研究及び社会連携講座「分子腫瘍薬学」設置に関する契約を締結したほか、埼玉医科大学との間で、BR療法による自家造血幹細胞移植適応の再発又は再燃DLBCL患者を対象とした医師主導による第2相臨床試験を開始している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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