[台北 12日 ロイター] - 米アップルを主要顧客とする台湾の電子製品受託生産大手、鴻海精密工業が12日発表した第1・四半期決算は、5%増益で市場予想とほぼ一致した。半導体不足やサプライチェーン(供給網)の問題に加え、中国での厳格な新型コロナウイルス感染対策が重しとなった。
純利益は294億5000万台湾ドル(9億8548万ドル)。 前年同期は282億台湾ドル。リフィニティブが集計したアナリストの平均予想は297億6000万台湾ドルだった。
売上高は4%増加した。ただ、第2・四半期は、稼ぎ頭のスマートフォンなどの消費者向け電子製品の需要低迷で横ばいを予想した。
通期でも横ばいを予想。具体的な金額は示さなかったが、部品やコンピューティング製品、クラウド・ネットワーク製品は力強い伸びが期待できるとした。
他の製造業業者と同様、鴻海も深刻な半導体不足や、インフレ高進やウクライナ戦争を背景とする主要市場の悪化の影響を受けている。
中国での厳格な新型コロナウイルス感染対策について、以前は生産への影響は限定的と説明していたが、市民の行動が厳しく制限され鴻海の製品への需要は減退している。
劉揚偉会長は電話会見で「現在市場には多くの不確定要素が存在する」と述べ、新型コロナや地政学リスク、インフレなどを挙げた。「これらは需要と供給にかなりの課題をもたらしている」と指摘した。
第2・四半期に消費者向け電子製品の小幅な売上高減少を見込むのは、昨年の水準が高かったほか、新製品の投入が今年後半になることが理由と説明した。