[東京 6日 ロイター] - 東芝は6日、今月開催予定の定時株主総会の招集通知や2022年3月期の報告書を公表した。社外取締役の綿引万里子氏(元名古屋高裁長官、弁護士)らの補足意見を掲載し、社外取締役で指名委員会委員長のレイモンド・ゼイジ氏が個人として株主提案に賛成する旨の意見を直接外部に発信した行為は「東芝のガバナンス不全になりかねないもの」と指摘した。
今年2月、東芝の第2株主であるシンガポールの資産運用会社、3Dインベストメント・パートナーズによる戦略の再検討を求める株主提案について東芝取締役会は全会一致で反対を決めたが、ゼイジ氏はその後、個人株主としては賛成する意向をツイッター上で表明した。
社外取締役で監査委員会委員長の橋本勝則氏(元デュポン日本法人副社長)と綿引氏は補足意見で、ゼイジ氏の行為は「善管注意義務に反するとまでは言えない」としつつ、「取締役会に対する信頼やコーポレートガバナンスに対する疑念を生じさせる」と主張した。
ゼイジ氏はロイターの取材に対し、「(補足意見は)不正確かつ不完全であり、誤解を招くもの」とした上で、「取締役会での実質的な議論の内容や株主からの好意的なフィードバックを、2人が考慮しなかったことを表している」と反論した。
今月28日に開く定時株主総会の招集通知では、綿引氏が物言う株主(アクティビスト)の米ファラロン・キャピタル・マネジメントの今井英次郎氏、米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏を取締役候補とすることに反対していることを注記した。東芝は、13人の取締役選任を含む2議案を諮るとしている。