■事業内容
1. セキュアクラウドシステム(SCL)事業
ピー・ビーシステムズの主力事業であるセキュアクラウドシステム(SCL)事業は、一言で表現すればデジタルワーク推進からDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートする。
具体的には、単一企業・組織内で利用するクラウドを「プライベートクラウド」と呼ぶが、「システムのプライベートクラウド化」を核として事業を展開している。
企業名で言えばCitrix、VMware、DELL、Microsoft等の多様な選択肢の中から、セキュリティ、ストレージ、サーバー等のハードウェア商品及び各種ソフトウェア商品を含め、企業のDX実現の前提となる最適なクラウド基盤の設計・構築・維持を担っている。
また、近年大企業でも多数の事例が生じており、強く問題視されているのが「サイバー攻撃」だ。
これによって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っていることが同事業の特色の1つとして挙げられるだろう。
BtoCで直接サイバーセキュリティ対策製品を開発・提供しているわけではないため、サイバーセキュリティ対策の専門家としての性格がややわかりにくいものの、多種多様な選択肢の中から、基幹システムとの整合性なども踏まえて、顧客にとって最適な提案を行うことができるのは、独立系のSIerである同社の強みだ。
なお、同社は売上高100億円~500億円規模の中堅企業をメインターゲットとしてビジネスを展開しており、近年は公共(自治体や各種団体等)領域での引き合いも増加している。
同事業は、サーバーの仮想化や強靭なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、仮想化環境に特化し、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手作り開発)を行う「カスタマイザー」の3区分で構成されている。
用途の可能性が拡大する「4DOH」
2. エモーショナルシステム(EMO)事業
エモーショナルシステム(EMO)事業は、360度スクリーンに3D映像を切れ目なく表示する特許(特許第4166260号:立体映像の投影方法及び立体映像の投影装置)をもとにした、没入感の高いVR空間を生み出す、体験共有型VRシアター「4DOH」シリーズを製造販売する事業だ。
2022年3月末現在、「4DOH」シリーズの常設設置箇所は遊園地を中心として、国内12箇所、海外1箇所、計13箇所(一般向けに利用公開されていない企業及び研究機関の国内設置先2箇所を含まず)。
2020年には視聴者の操作により上映中の映像のストーリー分岐等を行うことができるインタラクティブ機能を追加した「i4DOH」、コロナ禍で向き合うことになったニューノーマル社会においても利用できるよう、少人数向けに小型化し換気性能を強化した「i4DOH:ATOM」をそれぞれ販売開始した。
2020年12月には有明ガーデンクリスマスのイベント、2021年2月にはKBC(九州朝日放送)の全国ネット特別番組「羽鳥×指原 みんなの夢アワード まとめてかなえちゃう!SP」にて「i4DOH」が使用されるなど、コロナ禍という極度の逆風下でも、同製品が提供するサービスの魅力がフックとなることによって、関心が集まっている。
その他、4DOHにおいて上映するコンテンツ制作も行っており、例えば有名IPとしては、2017年3月の「ウルトラマンゼロ Another Battle ~光と力~」を皮切りに、「頭文字D project VR -疾駆-」、「新幹線変形ロボ シンカリオン360°ザ・ムービー」を手掛けている。
同社の代表取締役社長である冨田氏がアニメ・漫画コンテンツに対して広く知見を有していることも、事業展開にはポジティブに作用するだろう。
「4DOH」については、もともと遊園地を中心としたアトラクション需要がメインだったものの、博物館や科学館での利用を皮切りに、可能性が拡大している。
地方創生のツール、介護医療及びスポーツ分野への活用、防災・工場見学をはじめとした様々な用途に対応するシミュレーターとしての利用も検討されるなど、引き合いが広がりつつあったタイミングでコロナ禍が直撃してしまった。
そのため、これまでの軌跡や足元の状況というよりも、アフターコロナでの需要の具体化に注目が集まる事業という位置付けとなっている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
1. セキュアクラウドシステム(SCL)事業
ピー・ビーシステムズの主力事業であるセキュアクラウドシステム(SCL)事業は、一言で表現すればデジタルワーク推進からDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートする。
具体的には、単一企業・組織内で利用するクラウドを「プライベートクラウド」と呼ぶが、「システムのプライベートクラウド化」を核として事業を展開している。
企業名で言えばCitrix、VMware、DELL、Microsoft等の多様な選択肢の中から、セキュリティ、ストレージ、サーバー等のハードウェア商品及び各種ソフトウェア商品を含め、企業のDX実現の前提となる最適なクラウド基盤の設計・構築・維持を担っている。
また、近年大企業でも多数の事例が生じており、強く問題視されているのが「サイバー攻撃」だ。
これによって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っていることが同事業の特色の1つとして挙げられるだろう。
BtoCで直接サイバーセキュリティ対策製品を開発・提供しているわけではないため、サイバーセキュリティ対策の専門家としての性格がややわかりにくいものの、多種多様な選択肢の中から、基幹システムとの整合性なども踏まえて、顧客にとって最適な提案を行うことができるのは、独立系のSIerである同社の強みだ。
なお、同社は売上高100億円~500億円規模の中堅企業をメインターゲットとしてビジネスを展開しており、近年は公共(自治体や各種団体等)領域での引き合いも増加している。
同事業は、サーバーの仮想化や強靭なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、仮想化環境に特化し、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手作り開発)を行う「カスタマイザー」の3区分で構成されている。
用途の可能性が拡大する「4DOH」
2. エモーショナルシステム(EMO)事業
エモーショナルシステム(EMO)事業は、360度スクリーンに3D映像を切れ目なく表示する特許(特許第4166260号:立体映像の投影方法及び立体映像の投影装置)をもとにした、没入感の高いVR空間を生み出す、体験共有型VRシアター「4DOH」シリーズを製造販売する事業だ。
2022年3月末現在、「4DOH」シリーズの常設設置箇所は遊園地を中心として、国内12箇所、海外1箇所、計13箇所(一般向けに利用公開されていない企業及び研究機関の国内設置先2箇所を含まず)。
2020年には視聴者の操作により上映中の映像のストーリー分岐等を行うことができるインタラクティブ機能を追加した「i4DOH」、コロナ禍で向き合うことになったニューノーマル社会においても利用できるよう、少人数向けに小型化し換気性能を強化した「i4DOH:ATOM」をそれぞれ販売開始した。
2020年12月には有明ガーデンクリスマスのイベント、2021年2月にはKBC(九州朝日放送)の全国ネット特別番組「羽鳥×指原 みんなの夢アワード まとめてかなえちゃう!SP」にて「i4DOH」が使用されるなど、コロナ禍という極度の逆風下でも、同製品が提供するサービスの魅力がフックとなることによって、関心が集まっている。
その他、4DOHにおいて上映するコンテンツ制作も行っており、例えば有名IPとしては、2017年3月の「ウルトラマンゼロ Another Battle ~光と力~」を皮切りに、「頭文字D project VR -疾駆-」、「新幹線変形ロボ シンカリオン360°ザ・ムービー」を手掛けている。
同社の代表取締役社長である冨田氏がアニメ・漫画コンテンツに対して広く知見を有していることも、事業展開にはポジティブに作用するだろう。
「4DOH」については、もともと遊園地を中心としたアトラクション需要がメインだったものの、博物館や科学館での利用を皮切りに、可能性が拡大している。
地方創生のツール、介護医療及びスポーツ分野への活用、防災・工場見学をはじめとした様々な用途に対応するシミュレーターとしての利用も検討されるなど、引き合いが広がりつつあったタイミングでコロナ禍が直撃してしまった。
そのため、これまでの軌跡や足元の状況というよりも、アフターコロナでの需要の具体化に注目が集まる事業という位置付けとなっている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)