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アングル:ロシアで好発進のマクドナルド後継店、野心と頭痛の種

発行済 2022-06-22 16:48
更新済 2022-06-22 16:54
© Reuters.  6月21日、ロシアから完全撤退した米ファストフード大手、マクドナルドから事業を引き継いだ新ハンバーガー・チェーン店「フクースナ・イ・トーチカ」のオレグ・パロイエフ最高経

[モスクワ 21日 ロイター] - ロシアから完全撤退した米ファストフード大手、マクドナルドから事業を引き継いだ新ハンバーガー・チェーン店「フクースナ・イ・トーチカ」のオレグ・パロイエフ最高経営責任者(CEO)がロイターのインタビューに応じ、もう「ビッグマック」や「マックフルーリー」はメニューに載せられないが、野心的な成長目標の達成を目指していくと強調した。

フクースナ・イ・トーチカは「おいしい。ただそれだけ」という意味。マクドナルドから5月にロシア事業のライセンスを買い取り、今月12日と13日に首都モスクワ市内と近郊の50店で営業を開始。初日のハンバーガー売り上げは、約12万個という記録的な数字となった。

パロイエフ氏は店舗数拡大に熱意を見せる。同時に原材料調達や仕入れ業者の入れ替えと、今でもマクドナルドのブランド名で営業している一部の旧フランチャイズ契約業者の扱いが難しいと認めた。

開業当日に何千人もが訪れたモスクワのプーシキン広場にある旗艦店は、マクドナルドの商標権や知的財産を使えないため、ロゴや色使い、包装デザインなどが刷新された。

パロイエフ氏は「初日にはほぼ12万個に上るハンバーガーが売れた。1日の販売個数としてはマクドナルドがロシアで営業していた全期間で一度も目にしたことがない水準だ」と胸を張る。

パロイエフ氏は、これほどの需要が長く続くとは予想していないが、マクドナルドのロシア事業を一手に所有することになった実業家、アレクサンドル・ゴボル氏が掲げた目標を予定よりも早く上回る成長を実現したい考えだ。

ゴボル氏は、マクドナルド傘下で約850だった店舗数を4─5年で1000に増やす方針を打ち出している。

また、パロイエフ氏は、ロシア最大手銀行・ズベルバンクから出資を受けることは否定しつつ、戦略的な提携関係強化を望む考えを示した。

<マクドナルドは戻ってくるか>

ゴボル氏によると、マクドナルドのロシア事業購入代金は「象徴的な金額」に過ぎず、米マクドナルドは15年間有効な「買い戻し権」を行使しない姿勢を明確にしたと述べた。

パロイエフ氏はあくまで個人的な見解としながら、フクースナ・イ・トーチカが再びフランチャイズに加盟する場合、マクドナルドはロシアに戻ってこられるだろうが、そうした趣旨の話し合いはしていないと付け加えた。

マクドナルドは電子メールを通じた声明で「ロシア事業の売却を完了し、市場から撤退した」とだけコメントした。

<旧フランチャイズ問題>

マクドナルドの旧フランチャイズ契約業者の一部はまだ、マクドナルドとして営業し、ビッグマックなどを別の名前で販売し続けており、フクースナ・イ・トーチカにとって頭痛の種になっている。パロイエフ氏は「もちろんこれは、われわれにとって喜ばしくない」と困惑する。

マクドナルドのブランド使用継続は、ロシアの法律に違反することになる。しかし、パロイエフ氏によると、フクースナ・イ・トーチカに同ブランドをめぐる権利がない以上、法的措置を講じることもできない。

鉄道駅やサンクトペテルブルクのプルコボ空港の店舗でマクドナルドとして営業を続けている旧フランチャイズ契約業者のロスインテル・レストランツは、ロイターのコメント要請に回答がなかった。

パロイエフ氏は、フクースナ・イ・トーチカが旧フランチャイズ契約業者に新ブランドへの加盟を提案し、既に1社から同意を得たと明かした。

同氏の説明では、ゴボル氏がマクドナルドから実際に買い取ったのは約700店で、残りの100店前後はどうなっているかが不明のまま。また、以前のサプライヤーとフクースナ・イ・トーチカは関係を維持している半面、他の旧フランチャイズ契約業者は取引していない。

鉄道駅や空港の店舗について、パロイエフ氏は「どんな商品を売っているのかは謎だ。ただ、マクドナルドで販売されていたのと同じ商品、ないし原材料ではないのは確かだと断言できる」と話した。

<楽観姿勢は維持>

パロイエフ氏によると、フクースナ・イ・トーチカが商品の品質を保つ決意を持っているとはいえ、マクドナルドと同じ味を提供し続けるのは難しい。商品の99%はロシア国内のサプライヤーから仕入れているものの、原材料の「相当比率」は国外からの調達になるので、経済制裁やサプライチェーン(供給網)混乱が問題になっているという。

同氏は、マクドナルドとの取り決めでレシピは変更されるので、今はビッグマックに代わる商品を考案中だと語り「これはかなり大きな損失で、ビッグマックがメニューからなくなった事実は、われわれにとってプラスにならない」と率直に認めた。新ブランドの定着には時間がかかりそうだともみている。

それでも楽観的な姿勢は変わっていない。「われわれのお客様はいずれ新しい名前になじみ、もはや『マック』はないのだと理解してくれるだろう」と前を向いた。

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