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CEHD Research Memo(6):既存事業の成長と新たなサービスビジネスの創出を狙う(1)

発行済 2022-06-27 15:16
更新済 2022-06-27 15:31
© Reuters.
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■CEホールディングス (TYO:4320)の今後の見通し

1. 2022年9月期の業績見通し
利益面について、2021年9月期は、新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)の影響により、その前の期から延期された案件の売上計上が業績に大きく貢献した一方、2022年9月期は、データ利活用を基軸としたサービスビジネスなどに向けた戦略投資のための研究開発費が増加することなどにより、営業利益は前期比で減益となる見通し。
加えて、2021年9月期は関係会社株式の売却により特別利益を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益も前期比で減益となることを予想している。
一方で、業績の予想を2022年4月25日に上方修正しており、減益幅は当初の想定よりも縮小する見通しとなっている。
売上高が12,800百万円から13,320百万円(当初予想比4.1%増)、営業利益が800百万円から870百万円(同8.8%増)、経常利益が800百万円から880百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は420百万円から470百万円(同11.9%増)の予想と、それぞれ引き上げた。


もっとも、コロナ禍の長期化により、現在発生している、あるいは発生の恐れがある事象として以下を挙げている。

1) 医療情報システムを受注した病院において、新型コロナウイルス感染症対策として病院関係者以外の施設内への立ち入り制限が行われる、あるいは病院内での感染発生や同社グループもしくは販売パートナーの担当社員等が感染した場合、導入作業が中断し、納品が遅れることにより、売上計上が遅延する。

2) 医療機関が新型コロナウイルス感染症対策を優先することにより、同社グループまたは販売パートナーにおける営業活動が長期停滞した場合、受注状況が悪化する。

3) 支援を受注した医薬品等の臨床開発プロジェクトにおいて、予定された症例数(データ)を集められず、プロジェクトの進捗が遅延し、売上計上が延期する。


加えて、現在は世界的な半導体不足が発生しており、それに伴うサーバー等の納期遅延が発生する可能性があるとしている。


2. 中期経営計画
1) 新市場区分への移行
2022年4月4日にスタートした東京証券取引所の市場再編にあたって同社は、プライム市場に移行した。
プライム市場の上場維持基準充足に向けた具体的な計画・取り組みについては、「プライム市場の上場維持基準の適合に向けた計画書」を開示し、2026年9月期末までに上場維持基準を充たすため、以下の取り組みを設定した。

・2026年9月期末までに流通株式時価総額100億円以上を目指す
・時価総額200億円(親会社株主に帰属する当期純利益10億円×PER20倍)×流通株式比率70%=流通株式時価総額140億円を実現する
・2024年9月期末には親会社株主に帰属する当期純利益7億円を実現し、2026年9月期末には当期純利益10億円を達成する

2) 成長戦略
同社は、中期経営計画で以下の3つの成長戦略を掲げる。
これにより、2024年9月期の親会社株主に帰属する当期純利益7億円、流通株式時価総額95億円、顧客医療施設数1,100施設という数値目標達成を目指す。


a) 既存事業の強みを生かした新なサービスビジネス創出
同社は、電子カルテシステム「MI・RA・Is / AZ」の販売や病院向けのSIerとして、院内情報システム構築の元請けとなった実績を多数有している。
複数製品で構成される医療施設のITシステム全体を把握し、これらの製品との接続・連携ノウハウが強みとなり、同社グループのコア・コンピタンスにつながっている。
こうした点を生かすことにより、「新たな価値を継続的に提供し続ける高収益なサービスビジネスの創出」につなげていく。


これまでの製品開発と販売を主体とした投資回収サイクルに加えて、高収益なサービスビジネスを目指した研究開発投資期間を設定する。
また、サービスビジネス開始後は、投資と回収を同時に行うことで経営の安定化を目指す。
さらに、サービスを中心に事業拡大し、2026年9月期には、売上180億円のうち、約3分の1をサービスで構成することを目指す。


b) 既存事業に次ぐ、成長事業の創出
事業ポートフォリオの拡充とグループ内シナジー創出を狙い、デジタルマーケティング・制作・運用分野の事業を2024年9月期までにM&Aにより立ち上げる。
これにより、ヘルスケア・メディカル分野のマーケティングの知見を獲得し、独自性を持った事業を確立する。
また、DX問診・ePROをはじめとしたWebアプリの制作・開発支援(モバイルアプリ含む)を行うとともに、デジタルマーケティングにより、「コンシューマーへのアクセス」「非対面営業」「大量・少額のサービス販売」を行う。


足がかりとして、2022年2月17日付でサンカクカンパニーの全株式を取得し、完全子会社とした。
サンカクカンパニーは、2005 年に設立され、大手企業やブランドの Web サイト再構築(リブランディング)、 Web プロモーション支援(Web 広告の企画・制作・運用、SNS を含む)等、企業のデジタルマーケティング 全般をワンストップで支援している。
上級Web解析士をはじめとする優秀な人材が多数在籍し、デジタルマーケティング支援について豊富な実績を有している。
同社グループが目指すデジタル問診、診療予約、PHR、電子カルテ記載情報の共有など、医療機関とコンシューマーをつなぐサービスの立ち上げ・拡大に向けては、一般コンシューマーの認知向上や実際の体験を共有・拡散してもらうことが必須である。
このためのデジタルマーケティングの技術・ノウハウをグループ内に獲得することにより、これらのサービスを加速する方針としている。


c) 既存事業の収益拡大
「収益強化」「原価低減」「生産性向上」による収益拡大で、2026年9月期までに営業利益5.2億円増を目指す。
具体的には、小規模医療施設向け電子カルテシステム(クラウド型)投入を予定している。
電子カルテシステムは、医事会計システムや医用画像管理システム等の部門システム、サーバーやPC等のハードウエア、及び院内ネットワークの構築等を含めると導入費用が数千万円~数億円規模になるため、これまでは、中~大病院を中心に普及が進んできた。
しかし、同社は電子カルテシステムをクラウド化することで導入・維持コストを低減し、小規模特有のニーズに特化した機能を実装したクラウド型電子カルテシステムを投入することで、小規模医療施設への普及拡大を狙う。
投入は、2022年にパイロット運用を開始し、2023年には本格展開開始を予定する。
直販による運用検証後、電子カルテシステム普及率の低い小規模医療施設市場(病床数20~99床)に対して、販売店による販売を中心に営業強化を図る。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川勇一郎)


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