[14日 ロイター] - フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズは14日、同社の人権問題への取り組み状況を巡る初の年次報告書を公表した。インドやミャンマーなどでの現実世界での暴力や憎悪増大を助長するオンライン上の人権侵害に目をつぶってきたとの長年の批判に対応して見せた。ただ複数の人権団体は公表が不十分だと指摘している。
報告書は2020年と21年に実施されたデューデリジェンス調査に基づく。インドの人権状況にフェイスブックが及ぼした影響について法律事務所フォーリー・ホーグに委託した検証結果の概要が含まれている。
当該の要約部分では、同社プラットフォームが「敵対心や差別ないし暴力をあおる憎悪感情の擁護」などを通じて「著しい人権リスク」に関与している可能性があるとフォーリーから指摘を受けたといった表現で終わっている。投稿内容への管理にバイアスがあると批判されている点についてはフォーリーが評価の対象にしなかったとしている。
しかしアムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウオッチなどの人権団体は今月1月、メタに共同書簡を送付し、インドの問題について対処が進んでいないと批判した上で、フォーリーによる評価の要約でなく全文の公表を申し入れていた。
フォーリーの評価作業に参加し、共同書簡にも署名していたインディア・シビル・ウオッチ・インターナショナル代表のラティク・アソカン氏はロイターに対し、フォーリーがせっかく見つけたことをメタが要約文でしか発表せず、うわべだけ発表したふりをしてごまかそうとしていると指摘した。同氏は、メタがこの報告書が示す情報について、極めて厄介だと感じているのは明らかだとも述べた、
ヒューマン・ライツ・ウオッチのデボラ・ブラウン氏も要約が「選別的」だと批判。メタがインドでのヘイトスピーチの広がりに果たしている役割や、その問題の解決にコミットしようとしているのかについての理解にまったく役立たないとした。
メタのインド事業を巡っては、暴力を助長していると社内で警告されたヒンズー教至上主義者らに会社のコンテンツ規則を適用することを同事業幹部が反対したと米ウォールストリート・ジャーナル紙が報道。その後に同幹部が辞任している。
メタにとってインドはユーザー数ベースで世界最大の市場。一方、同国で反イスラム主義のヘイトスピーチがさまざまな政治的緊張を甚大化させている現状について、多くの人権団体は何年も前から警鐘を鳴らしている。
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