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ASIAN STARは下値切り上げ、22年12月期2Q累計赤字だが通期黒字転換予想据え置き

発行済 2022-08-23 08:37
更新済 2022-08-23 09:05
© Reuters.  ASIAN STARは下値切り上げ、22年12月期2Q累計赤字だが通期黒字転換予想据え置き

 ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(東証スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開し、成長戦略として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。22年12月期第2四半期累計は前年同期の収益マンション販売の反動、中国・上海のロックダウンによる一部経費の増加などで赤字だった。ただし下期に収益不動産売却が見込まれるため通期の黒字転換予想を据え置いている。収益改善基調を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。そして煮詰まり感も強めている。出直りを期待したい。

■国内と中国で不動産事業を展開

 国内と中国で不動産関連事業を展開し、中国の上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。

 21年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が41%、不動産管理事業が22%、不動産賃貸事業が16%、不動産仲介事業が20%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が10%、不動産管理事業が34%、不動産賃貸事業が25%、不動産仲介事業が30%、投資事業が1%だった。

 国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは、民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。

 中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。

 20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。

 21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡し、連結から除外した。今後の中国における賃貸管理事業については、引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。

■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進

 中期成長戦略として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。

 付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。

 20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。そして21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。

 21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスを計画している。日本の高水準の医療健康サービスを提供する。

 財務戦略では、資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。なお21年1月には指名・報酬委員会の設置を発表した。コーポレートガバナンスの一層の充実を図る。

■22年12月期2Q累計赤字だが通期黒字転換予想据え置き

 22年12月期連結業績予想は、売上高が21年12月期比35.2%増の34億39百万円、営業利益が1億10百万円の黒字(21年12月期は3百万円の赤字)、経常利益が1億11百万円の黒字(同4百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が69百万円の黒字(同21百万円の赤字)としている。収益不動産売却などで大幅増収・営業黒字転換予想としている。

 セグメント別売上高の計画は、不動産販売事業が17億57百万円(21年12月期は10億48百万円)、不動産管理事業が5億42百万円(同5億64百万円)、不動産賃貸事業が5億96百万円(同4億11百万円)、不動産仲介事業が4億06百万円(同5億17百万円)、投資事業が1億36百万円(同2百万円)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比37.4%減の10億24百万円、営業利益が40百万円の赤字(前年同期は58百万円の黒字)、経常利益が43百万円の赤字(同64百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が59百万円の赤字(同45百万円の黒字)だった。前年同期の収益マンション販売の反動、中国・上海のロックダウンによる一部経費の増加などで赤字だった。

 セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)は、不動産販売事業が前年同期の収益マンション販売の反動や戸建て売上件数減少などで5百万円の赤字(前年同期は43百万円の黒字)、不動産管理事業が中国・上海のロックダウンによる一部経費の増加などで7.4%減の56百万円、不動産賃貸事業が経費削減などで10.3%増の41百万円、不動産仲介事業がコロナ禍の影響などで63.8%減の31百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億03百万円で営業利益が34百万円の赤字、第2四半期は売上高が6億21百万円で営業利益が6百万円の赤字だった。

 第2四半期累計は計画を下回り赤字着地となったが、通期の黒字転換予想を据え置いている。中国・上海のロックダウンが解除されて段階的に稼働を再開していることに加えて、下期に収益不動産売却が見込まれるとしている。中国事業においては、政府による不動産取引抑制施策の緩和を見込み、仲介件数と管理受託件数の増加を図るとしている。通期ベースで収益改善基調を期待したい。

■株主優待制度を新設、毎年6月末・12月末の株主対象

 22年1月に株主優待制度「ASIAN STARプレミアム優待倶楽部」の新設を発表した。毎年6月末および12月末の50単元(5000株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じた優待ポイントで食品や電化製品などの商品に交換できる。22年6月末対象から実施(詳細は会社HP参照)する。

■株価は下値切り上げ

 株価は安値圏でモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。そして煮詰まり感も強めている。出直りを期待したい。8月22日の終値は78円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円62銭で算出)は約22倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS84円86銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約15億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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