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アングル:欧米銀、進まぬ出社再開 魅力向上にあの手この手

発行済 2022-09-08 14:58
更新済 2022-09-08 15:00
© Reuters.  9月2日、 欧米の金融機関では、コロナ禍で在宅勤務が当たり前になった従業員に出社を促している。ロンドンの金融地区で5月撮影(2022年 ロイター/Hannah McKay)

[ロンドン/ニューヨーク 2日 ロイター] - 欧米の金融機関では、コロナ禍で在宅勤務が当たり前になった従業員に出社を促している。だが、通勤の負担などが足かせとなり、職場復帰は遅れぎみだ。打開策として金融機関は無料で食事を提供したり、卓球台や「瞑想的な空間」を備えたりと、オフィスの魅力向上に躍起となっている。

金融業界ではコロナウイルスのパンデミック期に、在宅勤務と出社を組み合わせるハイブリッド勤務が広がった。しかし、ロイターが収集したデータや金融機関幹部とのインタビューから、世界的に従業員の出社比率が見通しに届いていないことが分かった。

通勤費が懐に入るのが普通になった従業員は、燃料費や食費などの負担急増でますます出社に消極的になり、企業はオフィスワークの魅力向上という課題を抱えている。

非営利団体「パートナーシップ・フォー・ニューヨークシティ」のキャサリン・ワイルデ最高責任者(CEO)は「雇用主はオフィスをより魅力的で意義深いものにするため、かなりの手段を講じている」と述べた。食事の無料提供から共有スペースに卓球台を備えて充実させるなど、さまざまな福利厚生策が導入されているという。

コンサルタント会社、アドバンスト・ワークプレース・アソシエーツ(AWA)が8万人近くを対象に世界規模で実施した調査からは、従業員がハイブリッド勤務の決まりを守っていない様子が浮かび上がった。

調査結果によると、義務づけられた出社日数が「2日」、「2日か3日」、「3日」の場合について調べたところ、実際の出社日数はそれぞれ1.1日、1.6日、2.1日だった。

AWAのマネジングディレクター、アンドルー・マーソン氏は「ロックダウンが解除になり制限が緩和されて、人々はオフィスに行こうとした。実際に出社すると仕事はズーム会議への参加だけだった」と話す。「人々が出社しないのは、自分にぴったりのライフスタイルとコスト構造に慣れてしまったからだ」という。

<オフィスのホテル化>

金融業界の若手従業員はリモートワークがキャリアアップに与える影響を懸念しているが、求職者はリモートワークを希望している場合が少なくない。

柔軟な働き方を希望した上で仕事を検索できるオンラインプラットフォーム、フレクサの広報担当者によると、8月に入ってからは金融関連で職探しする人で「リモート」もしくは「リモートファースト」の仕事を希望する人は全体の80%に達し、3月から33%増加した。

ロンドンに拠点を置く不動産コンサルタントのアルカディスは、企業のオフィス改装を支援し、屋内庭園や図書室、ゆったりできる家具を備えた私的なエリアなど「瞑想的な空間」を増やしている。ディレクターのピーター・ホッグ氏によるとパンデミック以来、最も多忙だという。

企業向けオフィスデザインを手がける企業のディレクターによると、英国に本社を置くある商社は、遅くまでの仕事で疲れた従業員のためにシャワーや仮眠室、洗濯設備などを用意し始めた。

「顧客には『オフィスをホテルと見なすつもりだ』と言われた。必ずしも企業の財務的な必要性ではなく、従業員のニーズに応えようとしている」と、このディレクターは話した。

金融街シティーの行政機関「シティー・オブ・ロンドン・コーポレーション」は8月、劇やゲーム、ライブパフォーマンスなどのイベントを展開する「デスティネーション・シティ」プログラム向けに専門職員を採用したと発表した。

英銀オルダーモアのスティーブン・クーパーCEOによると、同行は従業員がクリーニングなど日常的な用事を会社で済ませられるようにコンシェルジュを採用することを検討している。

パートナーシップ・フォー・ニューヨークシティのワイルデ氏によると、出社再開に対する抵抗が最も強いのは、郊外に転勤し、通勤時間が長い従業員。一方で、若い従業員は出社を再開する可能性が高い。「若い人たちは、自分のキャリアアップがオフィスの人間関係次第だと認識している」と言う。

<孤独な格納庫>

米大手金融機関は、従業員の出社再開に最も積極的な業界の1つだ。ゴールドマン・サックス・グループは昨年6月に完全出社の再開を発表。

モルガン・スタンレーとJPモルガンもほぼ再開し、シティはハイブリッド勤務となっている。

ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは1日、ハイブリッド勤務も認めつつ、従業員が「孤独な自宅の格納庫」にこもるのではなく出社を再開することを望んでいると発表した。

ゴールドマンとモルガン・スタンレーはオフィスでのマスク着用や新型コロナウイルス検査など、コロナ禍で導入した制度を9月上旬に解除する方針であることが、ロイターが入手したメモで明らかになった。

JPモルガンは今年3月、社内でのマスク着用を任意とし、ワクチン未接種の従業員に対する強制検査も終了。ワクチン接種者だけを採用する方針も撤回した。

ロンドンの不動産金融会社、アトリエのクリス・ガードナー共同CEOは、英国の景気低迷とエネルギーコスト上昇を背景に、スナックの無料提供といった出社促進策よりも、雇用への不安の方が素早く出社再開を促すことになると予想。

「年末にかけて予想通りに事態が厳しくなれば、オフィスに姿を見せることがもっと重要になるだろう」と語った。

(Lawrence White記者、Iain Withers記者、Lananh Nguyen記者)

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