[ベルリン 16日 ロイター] - ロシア国営石油会社ロスネフチのドイツ子会社は16日、信託管理下に置かれた。ドイツ連邦規制当局が今後、ベルリン市の重要な燃料供給源であるシュベートのPCK製油所を管理することになる。
ドイツ経済省は「信託管理により、エネルギー供給の安全保障に対する脅威に対抗し、シュベート製油所の保全と将来のための礎石を据えることができる」と説明した。
ロスネフチ独子会社はドイツの石油処理能力の約12%を占めており、以前はロスネフチが過半数を保有していた。今後は連邦ネットワーク庁の管理下に入り、元の所有者には指示を出す権限はないという。
ロスネフチ独子会社を信託管理下に置くことは、ウクライナ戦争の影響に揺れるドイツのエネルギー産業を補強するための措置の一環。
ショルツ首相は記者会見で「ドイツを守るための広範なエネルギー政策上の決定」とし、「ロシアが信頼できるエネルギー供給国ではないことは以前から明らかだった。この決定を軽く考えているわけではない。避けられないものだった」と述べた。
シュベート製油所はドイツ第4位の製油所であり、ベルリンの燃料の90%を供給する。1960年代に建設されて以来、全ての原油をドルジバ・パイプライン経由でロシアから調達してきた。ドイツ経済省の発表によると、管理下に置く措置には、同製油所が代替ルートを通じて原油を調達できるようにするためのパッケージが含まれているという。
今回の措置はロシアからの報復を招く可能性がある。
ショルツ首相は、ロシアが原油供給を突然停止する可能性を想定し、準備していたと表明。政府がこの日に発表した政策文書によるとは、シュヴェートへの原油供給の確保についてドイツはカザフスタンと協議を行っている。
シュベート製油所株の37.5%を保有する英石油大手シェルは同株の売却を望んでいた。シェルは今回の措置による影響はないとコメントしている。
一方ロスネフチ側は、この措置は違法だと反発。ドイツの決定に異議を申し立てるため、法廷闘争に持ち込む構えを示した。