■会社概要
1. 会社沿革
Abalance (TYO:3856)は2000年4月にインターネットサービスの開発・運営、並びに企業向けナレッジマネジメントソリューションの提供を目的にIT企業として発足した。
2007年9月に東証マザーズ市場(現在は東証スタンダード市場)に上場し、調達した資金で海外のIT企業を買収し事業拡大を目指したが、2008年秋のリーマン・ショックによる業績悪化に伴い、海外のIT事業については2011年6月までにすべて売却した。
2011年11月に、建設機械の仕入販売やグリーンエネルギー事業を行っていたWWB(株)を株式交換により完全子会社化したのを契機に、その後はグリーンエネルギー事業を中心に事業を拡大している。
2017年3月に太陽光発電所の分譲販売事業を展開する(株)バローズを完全子会社化したほか、2019年1月にはWWBが光触媒酸化チタンコーティング剤及び関連製品の開発、製造販売を行う(株)鯤コーポレーション(現 日本光触媒センター(株))を子会社化した。
2019年10月には、IT事業特有の市場変化への柔軟な対応等を企図し、同社の一事業として行っていたIT事業を分社化、Abit(株)を設立し、さらに2020年11月には持分法適用関連会社であったFUJI SOLAR(株)を連結子会社化したことにより、その子会社であったベトナムの大手太陽光パネルモジュールメーカーのVSUNが連結対象子会社となった。
2021年も、3月に太陽光パネルのリユース・リサイクル市場への進出を目的にPV Repower(株)を、6月に水素エネルギー貯蔵システムの開発を目的にバーディフュエルセルズ(合)を相次いで新設し、グリーンエネルギー市場における事業領域の拡大を進めているほか、売電事業を安定収益源として拡大すべく太陽光発電所を運営する企業等のM&Aも積極的に推進している。
2022年3月にはAbitが電子認証技術の開発やIT技術者の派遣を行う(株)デジサインを子会社化したほか、同社が明治機械 (TYO:6334)の株式について公開買い付けを行い、資本業務提携契約を締結するとともに持分法適用関連会社とした。
明治機械は、製粉用設備機器の業界最大手で農業分野に幅広い顧客基盤を持ち、ソーラーシェアリングシステム(営農型太陽光発電システム)の販売強化、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営等で協業していくことにより、シナジーを創出する戦略となっている。
なお、2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴い、同社はスタンダード市場に移行したが、人材採用力の強化や中長期的な企業価値の向上につながるプライム市場入りの早期実現を目指している。
ESG視点を持ち、事業を通じてSDGsへ貢献
2. ESG・SDGsへの取り組み
グリーンエネルギー事業は、持続可能な脱炭素化社会の実現を企図したものでSDGsの潮流に沿っている。
2030年までに国内と海外を合わせて発電能力で1GW(=1,000MW、原子力発電所1基分に相当)の発電所を保有する目標を立て、地球温暖化防止のためCO2削減に貢献することを掲げている。
グリーンエネルギー事業の推進は、SDGs7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)への貢献と見ることができる。
海外事業では、VSUNの太陽光パネル製造事業をはじめとして東南アジア諸国における電力需要に応える複数のプロジェクトを手掛けている。
東南アジアにグリーンエネルギーを届けることは、地域のインフラや社会生活を支える点で重要な国際貢献の意義を持っている。
都市部を離れた地域によっては日が沈むと闇に包まれてしまう環境があり、そうした地域にもグリーンエネルギーの光を届けたいと同社は説明している。
ESGへの取り組みは同社グループの理念に合致するものであり、経営戦略へ積極的にESG視点を取り入れるとともに、SDGsの専門家を社外役員として登用している。
WWBは新製品の開発にも定評がある。
農業と発電事業を同時に行うことができる、農地に支柱を立てて、地上空間に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングは、農業経営の安定化や後継者の育成のほか荒廃農地の解消にも貢献することから、今後注力していく事業と位置付けている。
また、近年、頻発する大型台風による風雨災害とそれに伴う停電の発生を受けて、災害時の家庭用電源の利用に最適な折り畳み式軽量モジュールをセットにしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発し、販売している。
災害対策に取り組む自治体などから有事に備えての引き合いが増えており、熊本県人吉市、宮崎県小林市、えびの市、宮城県角田市、福島県本宮市等へ寄贈も行った。
2011年3月に発生した東日本大震災の福島第一原発事故の際には、三一重工(SANY)※製の大型コンクリートポンプ車(通称:大キリン)の寄贈協力を行った。
現在もWWBがメンテナンス作業やパーツ交換などに無償で対応している。
※三一重工は、米国キャタピラーやコマツ等と競合する中国の世界的建設機械メーカー。
WWBは日本における正規代理店となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 会社沿革
Abalance (TYO:3856)は2000年4月にインターネットサービスの開発・運営、並びに企業向けナレッジマネジメントソリューションの提供を目的にIT企業として発足した。
2007年9月に東証マザーズ市場(現在は東証スタンダード市場)に上場し、調達した資金で海外のIT企業を買収し事業拡大を目指したが、2008年秋のリーマン・ショックによる業績悪化に伴い、海外のIT事業については2011年6月までにすべて売却した。
2011年11月に、建設機械の仕入販売やグリーンエネルギー事業を行っていたWWB(株)を株式交換により完全子会社化したのを契機に、その後はグリーンエネルギー事業を中心に事業を拡大している。
2017年3月に太陽光発電所の分譲販売事業を展開する(株)バローズを完全子会社化したほか、2019年1月にはWWBが光触媒酸化チタンコーティング剤及び関連製品の開発、製造販売を行う(株)鯤コーポレーション(現 日本光触媒センター(株))を子会社化した。
2019年10月には、IT事業特有の市場変化への柔軟な対応等を企図し、同社の一事業として行っていたIT事業を分社化、Abit(株)を設立し、さらに2020年11月には持分法適用関連会社であったFUJI SOLAR(株)を連結子会社化したことにより、その子会社であったベトナムの大手太陽光パネルモジュールメーカーのVSUNが連結対象子会社となった。
2021年も、3月に太陽光パネルのリユース・リサイクル市場への進出を目的にPV Repower(株)を、6月に水素エネルギー貯蔵システムの開発を目的にバーディフュエルセルズ(合)を相次いで新設し、グリーンエネルギー市場における事業領域の拡大を進めているほか、売電事業を安定収益源として拡大すべく太陽光発電所を運営する企業等のM&Aも積極的に推進している。
2022年3月にはAbitが電子認証技術の開発やIT技術者の派遣を行う(株)デジサインを子会社化したほか、同社が明治機械 (TYO:6334)の株式について公開買い付けを行い、資本業務提携契約を締結するとともに持分法適用関連会社とした。
明治機械は、製粉用設備機器の業界最大手で農業分野に幅広い顧客基盤を持ち、ソーラーシェアリングシステム(営農型太陽光発電システム)の販売強化、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営等で協業していくことにより、シナジーを創出する戦略となっている。
なお、2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴い、同社はスタンダード市場に移行したが、人材採用力の強化や中長期的な企業価値の向上につながるプライム市場入りの早期実現を目指している。
ESG視点を持ち、事業を通じてSDGsへ貢献
2. ESG・SDGsへの取り組み
グリーンエネルギー事業は、持続可能な脱炭素化社会の実現を企図したものでSDGsの潮流に沿っている。
2030年までに国内と海外を合わせて発電能力で1GW(=1,000MW、原子力発電所1基分に相当)の発電所を保有する目標を立て、地球温暖化防止のためCO2削減に貢献することを掲げている。
グリーンエネルギー事業の推進は、SDGs7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDGs11(住み続けられるまちづくりを)、SDGs13(気候変動に具体的な対策を)への貢献と見ることができる。
海外事業では、VSUNの太陽光パネル製造事業をはじめとして東南アジア諸国における電力需要に応える複数のプロジェクトを手掛けている。
東南アジアにグリーンエネルギーを届けることは、地域のインフラや社会生活を支える点で重要な国際貢献の意義を持っている。
都市部を離れた地域によっては日が沈むと闇に包まれてしまう環境があり、そうした地域にもグリーンエネルギーの光を届けたいと同社は説明している。
ESGへの取り組みは同社グループの理念に合致するものであり、経営戦略へ積極的にESG視点を取り入れるとともに、SDGsの専門家を社外役員として登用している。
WWBは新製品の開発にも定評がある。
農業と発電事業を同時に行うことができる、農地に支柱を立てて、地上空間に太陽光発電設備を設置するソーラーシェアリングは、農業経営の安定化や後継者の育成のほか荒廃農地の解消にも貢献することから、今後注力していく事業と位置付けている。
また、近年、頻発する大型台風による風雨災害とそれに伴う停電の発生を受けて、災害時の家庭用電源の利用に最適な折り畳み式軽量モジュールをセットにしたポータブルバッテリー「楽でんくん」を自社開発し、販売している。
災害対策に取り組む自治体などから有事に備えての引き合いが増えており、熊本県人吉市、宮崎県小林市、えびの市、宮城県角田市、福島県本宮市等へ寄贈も行った。
2011年3月に発生した東日本大震災の福島第一原発事故の際には、三一重工(SANY)※製の大型コンクリートポンプ車(通称:大キリン)の寄贈協力を行った。
現在もWWBがメンテナンス作業やパーツ交換などに無償で対応している。
※三一重工は、米国キャタピラーやコマツ等と競合する中国の世界的建設機械メーカー。
WWBは日本における正規代理店となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)