[ワシントン 4日 ロイター] - 米政府は、国内インフレの抑制に向けた取り組みの一環として今冬の天然ガス輸出を禁止する案を検討したものの、こうした極端な措置は欧州との関係悪化につながるとの考えから、いかなる輸出禁止措置も排除された。関係筋がロイターに対し明らかにした。
バイデン大統領は3月、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧州に150億立方メートルの液化天然ガス(LNG)を追加供給すると確約。この確約はすでに達成された。
関係筋は、エネルギー価格が上昇し、例年より寒冷な冬季の気候が予想される中、バイデン大統領の確約が試される可能性はあるとしながらも、一段の分析を行った結果、LNGの輸出継続に対するコミットメントが一段と強まったと指摘。LNGの輸出禁止は真剣に検討されていないと述べた。
米国の今冬の気候が予想以上に寒冷になれば、在庫減で価格が押し上げられ、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員らが天然ガス輸出の制限を求める可能性がある。
ただ、経済学者は欧州連合(EU)の米天然ガスへの依存が増大していることを踏まえると、輸出を継続することに意義はあると指摘。ヒューストン大学のエネルギー経済学者、エド・ハーズ氏は、米国が天然ガス輸出を禁止すれば、EUは「戦争行為に相当する」と受け止める可能性があるとし、「反米感情が高まり、欧州諸国が米国との関係の強さを疑い始める恐れがある」と述べた。