■業績動向
1. 2022年12月期第2四半期累計の業績概要
ユミルリンク (TYO:4372)の2022年12月期第2四半期の業績は前年同期比で大幅な増収増益を達成した。
売上高が前年同期比20.6%増の1,100百万円(うちストック売上が1,076百万円、スポット売上が23百万円)に伸びるなか、営業利益と四半期純利益はそれぞれ同35.0%増の242百万円、同37.0%増の167百万円に急伸した。
経常利益も前年同期比36.3%増の242百万円に伸長した。
これを受け、売上高と営業利益は上半期として過去最高を記録した。
好業績の要因は、主力のメール配信システム「Cuenote® FC」とSMS配信サービスの「Cuenote® SMS」が引き続き好調だったことだ。
「Cuenote® FC」に関しては、2021年12月期から展開する「ディザスターリカバリープラン」が顧客からの支持を集めた。
自然・人為的災害に備えた堅牢な配信システムが顧客から評価され、銀行、インターネットサービスプロバイダー、予約サイトなどへの新規導入が進んだ。
また、EC市場の拡大とマーケティング・コミュニケーション活動のオンライン化に伴いメール送信数が増加したことも業績拡大に寄与した。
これを受け、同社が重視する各種指標も順調に伸びた。
ディザスターリカバリープランなど高価格帯サービスが好調だったことによって、契約あたりの平均利用額は前年同期比7.1%増の91千円に拡大した。
また、2022年12月期第2四半期末時点のMRRは前年同期比10.4%増の147百万円、ストック売上は同10.9%増の437百万円となった。
「Cuenote® SMS」は、運輸業顧客が本格的にサービス運用を開始したことが業績の拡大に貢献した。
乗車チケットの購入者に対するリマインド通知に使用されたことによって、SMSの配信数と平均利用額が増大した。
また、通信事業者の特需も業績を押し上げた。
これらにより、2022年12月期第2四半期末時点のMRRは前年同期比205.7%増の61百万円、ストック売上は同122.4%増の106百万円に急伸した。
契約あたりの平均利用額も伸長し、前年同期比69.3%増の198千円だった。
同社の「Cuenote」が乗車前のリマインド通知など、幅広い用途で使用されている点も注目に値する。
解約率は、メールサービスが前年同期比プラス0.06ポイントの0.44%、SMSサービスが同プラス1.64ポイントの1.79%だった。
前年同期に比べて解約率が上昇したとはいえ、依然として非常に低い水準を保つことができていると言えるだろう。
むしろ同社サービスに対する市場の反応は良好である。
実際、2021年12月期末時点と比較して、上場企業でCuenote®シリーズを導入している企業数はプラス24社の237社まで拡大している。
また、SMSの解約が収益に与える影響が軽微な点も朗報だ。
本部で一括して配信業務を行っていた顧客が本部の契約を解除したものの、配信業務は各拠点に移管されたため配信総数に変化はないためだ。
今後も同社の充実したサポート体制と堅牢な運用体制が顧客から支持されることによって、低い解約率が継続していくものと弊社は考える。
2022年12月期第2四半期のトピックスについては、同社サービスの導入事例として新たに日本航空株式会社とトライベック株式会社が公開された。
特に日本航空株式会社に関しては、同社のディザスターリカバリープランをはじめとする堅牢かつ安定した運用システムが導入の決め手の1つになっている。
同社売上の約8割を占める「Cuenote® FC」がミッションクリティカルなシステムを必要とする企業に導入されていることは、同社の高い技術力と充実したサポート体制が顧客に評価されている証であると弊社は考える。
また、売上の大部分を占めるメール配信サービスが順調に拡大していることは朗報だ。
デジタルマーケティング市場が今後拡大するなかで、同社の業績は安定して推移していくと弊社は見ている。
2. 過去の業績推移
(1) 売上高と営業利益
2012年12月期には739百万円だった売上高と59百万円だった営業利益は、2021年12月期にはそれぞれ1,929百万円、414百万円まで拡大。
文字通り右肩上がりに成長してきたと言えるだろう(同期間の売上高と営業利益のCAGRはそれぞれ11.2%と24.2%)。
デジタルマーケティング市場が拡大するなか、大規模・高速配信を可能にする技術力や充実のサポート体制などを武器に業績を順調に拡大してきたことが窺える。
特筆すべきは営業利益率の高さだ。
2012年12月期には8%だった同指標は、売上が拡大するにしたがって2021年12月期には21%に急伸している。
同社のようなSaaS型ビジネスモデルは変動費が少ない分、売上が拡大するにつれて利益率が上昇する傾向にある。
今後も業績が拡大するなかで、営業利益率をはじめ各指標の利益率が高まっていく可能性は十分にあると弊社は見ている。
(2) キャッシュ・フローの推移
2017年12月期から2020年12月期までの営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フロー、財務キャッシュ・フローの推移を見ると、営業キャッシュ・フローは一貫してプラス、投資キャッシュ・フローはマイナス、財務キャッシュ・フローは2020年12月期まで0円で推移しており、営業で稼いだ資金内で将来の業績拡大に向けて積極的に投資をしてきたことが分かる(2021年12月期はプラスに転じた)。
また、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローが常にプラス圏で推移していることからも、財務の健全性が読み取れる。
3. 財務状況と経営指標
2022年12月期第2四半期の財務状況を見ると、総資産が前期末比201百万円増加の2,299百万円となった。
主な増加要因は、流動資産で売掛金の回収によって現金及び預金が77百万円増加したほか、売掛金が62百万円増加した。
また、設備投資によって工具、器具及び備品が25百万円増加した。
負債合計は前期末比34百万円増加の437百万円となった。
主な増減要因を見ると、賞与の支払いに伴い未払費用が106百万円減少した一方で、賞与引当金が68百万円、その他流動負債が39百万円、未払法人税等が33百万円増加した。
純資産合計は前期末比167百万円増加の1,862百万円となった。
四半期純利益が前年同期比37.0%増の167百万円に伸長したことにより、利益剰余金がその分増加し、1,397百万円に膨らんだ。
利益剰余金を見てみると、2018年12月期以来順調に増加しており、しっかりと利益が積み上がってきていることが読み取れる。
財務状況は、2022年12月期第2四半期の自己資本比率が前期末比0.2ポイント増の81.0%に上昇した。
流動比率が451.3%、固定比率が17.5%と健全な値であり、長短の手元流動性に問題はないと言えるだろう。
また、経営指標に関して特筆すべきはROE(自己資本利益率)の高さだ。
2018年12月期~2021年12月期まで一貫して18%以上の値で推移しており、投資家から預かった資金を効率的に利益に変えていることが分かる。
投資の資金を効率的に利益に変えることができる企業は市場で評価されることになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
1. 2022年12月期第2四半期累計の業績概要
ユミルリンク (TYO:4372)の2022年12月期第2四半期の業績は前年同期比で大幅な増収増益を達成した。
売上高が前年同期比20.6%増の1,100百万円(うちストック売上が1,076百万円、スポット売上が23百万円)に伸びるなか、営業利益と四半期純利益はそれぞれ同35.0%増の242百万円、同37.0%増の167百万円に急伸した。
経常利益も前年同期比36.3%増の242百万円に伸長した。
これを受け、売上高と営業利益は上半期として過去最高を記録した。
好業績の要因は、主力のメール配信システム「Cuenote® FC」とSMS配信サービスの「Cuenote® SMS」が引き続き好調だったことだ。
「Cuenote® FC」に関しては、2021年12月期から展開する「ディザスターリカバリープラン」が顧客からの支持を集めた。
自然・人為的災害に備えた堅牢な配信システムが顧客から評価され、銀行、インターネットサービスプロバイダー、予約サイトなどへの新規導入が進んだ。
また、EC市場の拡大とマーケティング・コミュニケーション活動のオンライン化に伴いメール送信数が増加したことも業績拡大に寄与した。
これを受け、同社が重視する各種指標も順調に伸びた。
ディザスターリカバリープランなど高価格帯サービスが好調だったことによって、契約あたりの平均利用額は前年同期比7.1%増の91千円に拡大した。
また、2022年12月期第2四半期末時点のMRRは前年同期比10.4%増の147百万円、ストック売上は同10.9%増の437百万円となった。
「Cuenote® SMS」は、運輸業顧客が本格的にサービス運用を開始したことが業績の拡大に貢献した。
乗車チケットの購入者に対するリマインド通知に使用されたことによって、SMSの配信数と平均利用額が増大した。
また、通信事業者の特需も業績を押し上げた。
これらにより、2022年12月期第2四半期末時点のMRRは前年同期比205.7%増の61百万円、ストック売上は同122.4%増の106百万円に急伸した。
契約あたりの平均利用額も伸長し、前年同期比69.3%増の198千円だった。
同社の「Cuenote」が乗車前のリマインド通知など、幅広い用途で使用されている点も注目に値する。
解約率は、メールサービスが前年同期比プラス0.06ポイントの0.44%、SMSサービスが同プラス1.64ポイントの1.79%だった。
前年同期に比べて解約率が上昇したとはいえ、依然として非常に低い水準を保つことができていると言えるだろう。
むしろ同社サービスに対する市場の反応は良好である。
実際、2021年12月期末時点と比較して、上場企業でCuenote®シリーズを導入している企業数はプラス24社の237社まで拡大している。
また、SMSの解約が収益に与える影響が軽微な点も朗報だ。
本部で一括して配信業務を行っていた顧客が本部の契約を解除したものの、配信業務は各拠点に移管されたため配信総数に変化はないためだ。
今後も同社の充実したサポート体制と堅牢な運用体制が顧客から支持されることによって、低い解約率が継続していくものと弊社は考える。
2022年12月期第2四半期のトピックスについては、同社サービスの導入事例として新たに日本航空株式会社とトライベック株式会社が公開された。
特に日本航空株式会社に関しては、同社のディザスターリカバリープランをはじめとする堅牢かつ安定した運用システムが導入の決め手の1つになっている。
同社売上の約8割を占める「Cuenote® FC」がミッションクリティカルなシステムを必要とする企業に導入されていることは、同社の高い技術力と充実したサポート体制が顧客に評価されている証であると弊社は考える。
また、売上の大部分を占めるメール配信サービスが順調に拡大していることは朗報だ。
デジタルマーケティング市場が今後拡大するなかで、同社の業績は安定して推移していくと弊社は見ている。
2. 過去の業績推移
(1) 売上高と営業利益
2012年12月期には739百万円だった売上高と59百万円だった営業利益は、2021年12月期にはそれぞれ1,929百万円、414百万円まで拡大。
文字通り右肩上がりに成長してきたと言えるだろう(同期間の売上高と営業利益のCAGRはそれぞれ11.2%と24.2%)。
デジタルマーケティング市場が拡大するなか、大規模・高速配信を可能にする技術力や充実のサポート体制などを武器に業績を順調に拡大してきたことが窺える。
特筆すべきは営業利益率の高さだ。
2012年12月期には8%だった同指標は、売上が拡大するにしたがって2021年12月期には21%に急伸している。
同社のようなSaaS型ビジネスモデルは変動費が少ない分、売上が拡大するにつれて利益率が上昇する傾向にある。
今後も業績が拡大するなかで、営業利益率をはじめ各指標の利益率が高まっていく可能性は十分にあると弊社は見ている。
(2) キャッシュ・フローの推移
2017年12月期から2020年12月期までの営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フロー、財務キャッシュ・フローの推移を見ると、営業キャッシュ・フローは一貫してプラス、投資キャッシュ・フローはマイナス、財務キャッシュ・フローは2020年12月期まで0円で推移しており、営業で稼いだ資金内で将来の業績拡大に向けて積極的に投資をしてきたことが分かる(2021年12月期はプラスに転じた)。
また、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローが常にプラス圏で推移していることからも、財務の健全性が読み取れる。
3. 財務状況と経営指標
2022年12月期第2四半期の財務状況を見ると、総資産が前期末比201百万円増加の2,299百万円となった。
主な増加要因は、流動資産で売掛金の回収によって現金及び預金が77百万円増加したほか、売掛金が62百万円増加した。
また、設備投資によって工具、器具及び備品が25百万円増加した。
負債合計は前期末比34百万円増加の437百万円となった。
主な増減要因を見ると、賞与の支払いに伴い未払費用が106百万円減少した一方で、賞与引当金が68百万円、その他流動負債が39百万円、未払法人税等が33百万円増加した。
純資産合計は前期末比167百万円増加の1,862百万円となった。
四半期純利益が前年同期比37.0%増の167百万円に伸長したことにより、利益剰余金がその分増加し、1,397百万円に膨らんだ。
利益剰余金を見てみると、2018年12月期以来順調に増加しており、しっかりと利益が積み上がってきていることが読み取れる。
財務状況は、2022年12月期第2四半期の自己資本比率が前期末比0.2ポイント増の81.0%に上昇した。
流動比率が451.3%、固定比率が17.5%と健全な値であり、長短の手元流動性に問題はないと言えるだろう。
また、経営指標に関して特筆すべきはROE(自己資本利益率)の高さだ。
2018年12月期~2021年12月期まで一貫して18%以上の値で推移しており、投資家から預かった資金を効率的に利益に変えていることが分かる。
投資の資金を効率的に利益に変えることができる企業は市場で評価されることになるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)