[台北 13日 ロイター] - 半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が13日発表した第3・四半期決算は、純利益が前年同期比80%増と、2年ぶりの大幅増益を確保した。世界の半導体市場が減速する中でもデータセンターや電気自動車(EV)向けの先端製品が好調だった。
一方で年間投資予算を少なくとも10%減らし、今後の需要についてより慎重な姿勢を示した。
来年の価格上昇によるコスト増を指摘し、2022年の設備投資は約360億ドルに削減した。7月時点の予測は400億─440億ドルだった。
純利益は2809億台湾ドル(88億1000万米ドル)。リフィニティブがまとめたアナリスト予想平均(2656億4000万台湾ドル)を上回った。
売上高は36%増の202億3000万米ドル。会社の事前予想は198億─206億ドルだった。
第4・四半期の売上高は199億─207億ドルと、前年同期の157億4000万ドルから29%増加すると予想した。
データセンターと自動車関連事業が安定しているとし、半導体業界は23年に減速が見込まれるが、TSMCは全体として耐性が高いと指摘した。
TSMCの株価は年初から36%近く下落。13日は0.6%値下がりしたが、台湾の主要株価指数の2.1%よりも小幅な下げにとどまった。
魏哲家(C・C・ウェイ)最高経営責任者(CEO)は米政府が新たに導入した半導体の対中輸出規制について「初期段階の判断によると新たな規制の対象は、人工知能やスーパーコンピューター向けなど非常にハイエンドな仕様で、当社への影響は限定的で対応可能だ」と述べた。
「来年は当社にとって依然として成長の年になる」とした上で「来年の半導体業界は恐らく下降する公算が大きい。当社も無縁ではいられない」とも述べた。
ウェンデル・ファン最高財務責任者(CFO)は22年の設備投資削減について「半分は現在の中期見通しに基づく設備能力の最適化、もう半分は半導体製造装置(の納入の遅れ)を巡る問題が理由だ」と述べた。