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日産、通期営業益3600億円へ上振れ 円安・値上げなどで収益改善

発行済 2022-11-09 16:27
更新済 2022-11-09 20:18
© Reuters.  11月9日 日産自動車は9日、2023年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。写真は日産のロゴ。2020年7月、横浜市で撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

[東京 9日 ロイター] - 日産自動車は9日、2023年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。営業利益は前年比45.6%増の3600億円となる見通しで、従来予想から1100億円上振れる。円安、販売奨励金抑制や値上げなどによる1台当たりの収益改善が寄与する。

修正後の営業利益予想は市場予想(IBESによるアナリスト21人の予想平均値:3351億円)を上回っている。

営業利益に対し、原材料価格や物流費の高騰が従来予想比で700億円押し下げるが、為替の影響が1250億円押し上げる。

通期業績予想の前提となる為替レートは1ドル=135円(従来は120円)、1ユーロ=137円(同130円)に見直した。

会見した内田誠社長は、原材料費や物流費は「この数カ月で価格が下落しているものもあるが、総じて高止まりしている状態。バッテリー材料のように急騰を続けているものもある」と説明。円安は決算数字上は増益だが、事業持続性の面で急激な円安はさまざまな課題が出るとして「中長期的には安定した為替のほうが望ましい」と語った。

通期の売上高は29.4%増の10兆9000億円と従来から9000億円引き上げた。純利益は28.1%減の1550億円と従来から50億円の上振れにとどまる。ロシア市場からの撤退に伴う特別損失1000億円の計上が響く。

未定だった中間配当は見送る。内田社長は、下期(22年10月─23年3月)も半導体供給の回復ペース鈍化、インフレ・金利上昇などのリスクもあり、外部環境の不確実性は依然として残ると指摘。期末配当は1株当たり5円を予定するが、「下期の業績や自動車事業のフリーキャッシュフロー次第では増額を検討する」と述べた。

通期の四輪販売計画は370万台と従来予想から30万台引き下げた。上期(22年4─9月期)の生産・販売は半導体不足に加え、中国での都市封鎖の影響もあり想定を下回った。内田社長は「サプライチェーンの混乱が改善しつつあり、下期の世界販売は上期比35.8%増を見込むが、回復ペースは当初の想定よりも緩やかな状態」と話した。

アシュワニ・グプタ最高執行責任者によると、下期は上期に比べ「生産も増やす」。来期は代替品や複数の調達先を確保することで半導体不足に対応するが、「これで十分全ての需要に対応できるかといわれれば答えはノーだ」と語り、来期もサプライチェーンの課題は続くとの見方を示した。

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