[ヒューストン 23日 ロイター] - ベネズエラで反米左派のマドゥロ大統領が率いる政権と野党勢力の政治対話が再開された場合、米石油大手シェブロンはベネズエラでの大幅な事業拡大を米国政府から近く承認される可能性がある。事情に詳しい4人の関係者が23日明らかにした。
米政府は今年に入り、対ベネズエラ制裁をやや緩める提案をしたり、米国に収監されていた何人かのベネズエラ人を釈放することで、マドゥロ政権と野党側の対話に向けた環境づくりを進めてきた。
関係者の話では、こうした中でベネズエラの各政党と米政府は今週末にメキシコ市で協議を開く方向で調整している。実現すれば、こうした協議の開催は昨年10月以来となる。
マドゥロ政権にとっては、野党との話し合いに応じ、米政府がシェブロンの事業拡張を認めれば、停滞する国内の石油生産を上向かせることができる。
一方米政府もそうした流れを期待する事情を抱えている。米国のシェール生産は鈍化し、ウクライナ侵攻後に制裁を科されたロシアの石油輸出も減少、サウジアラビアは石油輸出国機構(OPEC)の減産を示唆するなど、原油は世界的な需給ひっ迫要因が相次いでいるからだ。
また、関係筋の1人は、石油販売を不透明で不正なルートから合法的なものに移行させることが米当局者の狙いだと指摘。マドゥロ政権が誠意ある姿勢で交渉に臨まなかったり公約順守を怠ったりした場合、米国は承認を取り消す可能性があると述べた。
バイデン政権はこれまで戦略備蓄放出を通じて原油価格高騰を抑えてきたが、間もなく放出措置の期限が到来する。
シェブロンは現在、米国の対ベネズエラ制裁の例外措置として一部の操業が可能な免許を保有しているが、これは12月1日に失効する予定。関係者によると、マドゥロ政権と野党の政治対話進展という条件が整えば、米財務省はシェブロンに事業拡大が可能な新しい免許を交付してもおかしくないという。