■業績動向
1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
富士紡ホールディングス (TYO:3104)の2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比11.4%増の19,609百万円、営業利益は同6.3%増の3,343百万円、経常利益は同5.4%増の3,406百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同2.3%増の2,307百万円となった。
また期初計画比では、売上高で7.4%超、営業利益で7.8%超、経常利益で6.4%超、親会社株主に帰属する四半期純利益で2.5%超と、計画を上回り、増収増益となった。
中期経営計画「増強21-25」において、計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージと位置付け、各事業の成長基盤の増強に取り組んでいる。
中期経営計画2年目となる当期は、研磨材事業では、研究開発力の加速、生産能力の増強を推進した。
化学工業品事業では、柳井・武生両工場がフル稼働を続けており、原材料高騰の影響が大きい生活衣料事業では、コスト最適化とコストアップに対応した価格改善を進めている。
原材料高・為替変動・景況感悪化の業績への影響については、新型コロナウイルス変異株による感染再拡大や、米国の金利上昇による急激な円安進行や長期化するウクライナ情勢の影響による資源価格の高騰、物価上昇に伴う個人消費の低迷など、先行き不透明な状況が続いており、化学工業品事業や生活衣料事業では原材料・原燃料の高騰や物流コスト上昇の影響を受け、一部利益が圧迫された。
ただし影響はマイナス要因だけでなくプラス要因もあり、中国における環境規制の影響や新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による海外生産リスクが顕在化し、化学工業品生産の日本国内回帰に拍車がかかり、化学工業品(中間体)の安定生産に寄与している。
2. セグメント別業績概要
(1) 研磨材事業
主力の超精密加工用研磨材は、ハードディスク用途及び液晶ガラス用途は、巣ごもり需要一巡後の反動減により、主要ユーザーの一部が生産調整及び在庫調整を実施し、受注が減少した。
一方、シリコンウエハー用途及び半導体デバイス用途(CMP)などは旺盛な半導体需要に、世界的な半導体不足が拍車を掛け、需要が拡大した。
この結果、売上高は前年同期比16.0%増の8,507百万円となり、営業利益は同9.7%増の2,178百万円となった。
(2) 化学工業品事業
機能性材料、医薬中間体及び農薬中間体などの受託製造は、国内需要の回復に加え、中国における環境規制の影響やコロナ禍による海外生産リスクも顕在化したことで、化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続き、農薬用や機能性材料用を中心に安定生産を継続することができた。
また、売上は順調に推移したものの、原材料・原燃料の高騰の影響を受け、利益は圧迫された。
この結果、売上高は前年同期比9.9%増の6,130百万円となり、営業利益は同4.5%減の701百万円となった。
(3) 生活衣料事業
生活衣料事業は、コロナ感染の拡大と収束を繰り返すなか、繊維素材は、原燃料や物流費の高騰、さらに円安の影響を受け、コストが大幅に上昇し、厳しい環境が続いた。
一方、繊維製品は、より収益性の高い製品への絞り込みに加え、変化する顧客行動に対応したEコマース販売のさらなる強化により、需要が堅調に推移した。
この結果、売上高は前年同期比3.6%増の3,632百万円となり、営業利益は同0.3%増の400百万円となった。
(4) その他(化成品)事業
化成品部門は、デジタルカメラ用部品及び医療機器用部品は、部品・部材の供給不足が徐々に解消しつつあり、需要が回復した。
また、金型部門は、自動車業界が半導体不足による減産が続くなか、需要が堅調に推移し回復した。
貿易部門は、収益性・安全性の高い取引に対象を絞り、採算性を改善している。
この結果、売上高は前年同期比12.7%増の1,338百万円となり、営業利益は同146.7%増の63百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
富士紡ホールディングス (TYO:3104)の2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比11.4%増の19,609百万円、営業利益は同6.3%増の3,343百万円、経常利益は同5.4%増の3,406百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同2.3%増の2,307百万円となった。
また期初計画比では、売上高で7.4%超、営業利益で7.8%超、経常利益で6.4%超、親会社株主に帰属する四半期純利益で2.5%超と、計画を上回り、増収増益となった。
中期経営計画「増強21-25」において、計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージと位置付け、各事業の成長基盤の増強に取り組んでいる。
中期経営計画2年目となる当期は、研磨材事業では、研究開発力の加速、生産能力の増強を推進した。
化学工業品事業では、柳井・武生両工場がフル稼働を続けており、原材料高騰の影響が大きい生活衣料事業では、コスト最適化とコストアップに対応した価格改善を進めている。
原材料高・為替変動・景況感悪化の業績への影響については、新型コロナウイルス変異株による感染再拡大や、米国の金利上昇による急激な円安進行や長期化するウクライナ情勢の影響による資源価格の高騰、物価上昇に伴う個人消費の低迷など、先行き不透明な状況が続いており、化学工業品事業や生活衣料事業では原材料・原燃料の高騰や物流コスト上昇の影響を受け、一部利益が圧迫された。
ただし影響はマイナス要因だけでなくプラス要因もあり、中国における環境規制の影響や新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による海外生産リスクが顕在化し、化学工業品生産の日本国内回帰に拍車がかかり、化学工業品(中間体)の安定生産に寄与している。
2. セグメント別業績概要
(1) 研磨材事業
主力の超精密加工用研磨材は、ハードディスク用途及び液晶ガラス用途は、巣ごもり需要一巡後の反動減により、主要ユーザーの一部が生産調整及び在庫調整を実施し、受注が減少した。
一方、シリコンウエハー用途及び半導体デバイス用途(CMP)などは旺盛な半導体需要に、世界的な半導体不足が拍車を掛け、需要が拡大した。
この結果、売上高は前年同期比16.0%増の8,507百万円となり、営業利益は同9.7%増の2,178百万円となった。
(2) 化学工業品事業
機能性材料、医薬中間体及び農薬中間体などの受託製造は、国内需要の回復に加え、中国における環境規制の影響やコロナ禍による海外生産リスクも顕在化したことで、化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続き、農薬用や機能性材料用を中心に安定生産を継続することができた。
また、売上は順調に推移したものの、原材料・原燃料の高騰の影響を受け、利益は圧迫された。
この結果、売上高は前年同期比9.9%増の6,130百万円となり、営業利益は同4.5%減の701百万円となった。
(3) 生活衣料事業
生活衣料事業は、コロナ感染の拡大と収束を繰り返すなか、繊維素材は、原燃料や物流費の高騰、さらに円安の影響を受け、コストが大幅に上昇し、厳しい環境が続いた。
一方、繊維製品は、より収益性の高い製品への絞り込みに加え、変化する顧客行動に対応したEコマース販売のさらなる強化により、需要が堅調に推移した。
この結果、売上高は前年同期比3.6%増の3,632百万円となり、営業利益は同0.3%増の400百万円となった。
(4) その他(化成品)事業
化成品部門は、デジタルカメラ用部品及び医療機器用部品は、部品・部材の供給不足が徐々に解消しつつあり、需要が回復した。
また、金型部門は、自動車業界が半導体不足による減産が続くなか、需要が堅調に推移し回復した。
貿易部門は、収益性・安全性の高い取引に対象を絞り、採算性を改善している。
この結果、売上高は前年同期比12.7%増の1,338百万円となり、営業利益は同146.7%増の63百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)