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シンバイオ製薬 Research Memo(1):BCVは開発領域拡大で成長ポテンシャルが一段と高まる

発行済 2022-12-28 15:31
更新済 2022-12-28 15:45
© Reuters.
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■要約

シンバイオ製薬 (TYO:4582)は、患者数は少ないが医療ニーズの高い「がん、血液、希少疾病」領域をターゲットに、臨床試験段階からの開発を進めるバイオベンチャーで、ラボレス・ファブレス戦略により効率的な事業運営を推進している。
パイプラインには、既に製品化済みの「トレアキシン(R)」(悪性リンパ腫向け治療薬)のほか、米国Chimerix (NASDAQ:CMRX)(以下、キメリックス)から導入した抗ウイルス薬「ブリンシドフォビル」(BCV)、同Onconova Therapeutics (NASDAQ:ONTX)(以下、オンコノバ)から導入した「リゴセルチブ」がある。
米国にグローバル開発戦略を指揮する子会社を稼働させたことにより、2022年12月期より連結決算を開始した。
2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴いグロース市場に移行している。


1. 2022年12月期第3四半期累計業績の概要
2022年12月期第3四半期累計(2022年1月-9月)の連結売上高は前年同期の単体業績と比較して32.5%増の7,355百万円、営業利益は同274.5%増の1,588百万円と大幅増収増益となった。
「トレアキシン(R)」に関して、2021年3月に再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下、再発・難治性DLBCL)を対象としたベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法(以下、BR療法)、及びベンダムスチンとリツキシマブ、ポラツズマブ べドチンとの併用療法(以下、P-BR療法)の製造販売承認を取得し、適応領域が拡大したことが増収要因となった。
販売マイルストーン550百万円が発生したほか、研究開発費が277百万円増加したが、FD製剤(凍結乾燥注射剤)からRTD製剤(液剤タイプ)への切り替えによる売上総利益率の改善と、販管費の抑制が進んだことにより、営業利益率は前年同期の7.6%から21.6%と大きく上昇した。
なお、「トレアキシン(R)」の後発医薬品が1社から販売開始されたが、影響は軽微だったと見られる。


2. 開発パイプラインの動向
「トレアキシン(R)」については2022年2月に「RI(急速静注)投与」(静注投与時間が従来の60分から10分に短縮)の販売承認を取得し、RTD製剤からRI投与への切り替えを進めており、2023年3月頃にはほぼすべて切り替わる見通しとなっている。
開発については「リゴセルチブ」との併用も含めて新たな適用拡大の可能性を探るため、アカデミアとの共同研究も進めている。
なお、2022年2月に製薬企業4社がRTD製剤の後発医薬品について製造販売承認を取得し、同年11月にはそのうち2社がRI投与でも承認を取得したことを発表、2022年6月より東和薬品 (TYO:4553)が、同年12月よりファイザー社が販売を開始している。
同社はライセンス元である米国Eagle Pharmaceuticals (NASDAQ:EGRX)(以下、Eagle社)と共同で、先行して販売を開始した東和薬品に対して2022年12月16日付で特許侵害訴訟を、またファイザー社についても2022年12月26日付で特許侵害訴訟をそれぞれ提訴した。


現在の開発の中心であるBCV(注射剤)については、海外有力アカデミアとの共同研究が増加している。
BCVは、広範囲のDNAウイルスに対して抗ウイルス活性の効果が高いという特徴を持っているためで、アンメットメディカルニーズの強い難治性の脳神経疾患やがん疾患など開発の可能性がここにきて広がっている。
開発状況としては、造血幹細胞移植後に発症するアデノウイルス(AdV)感染症を対象とした国際共同第2相臨床試験を実施しているほか、2022年12月から腎臓移植後のBKウイルス(BKV)感染症を対象とした国際共同第2相臨床試験についても開始している。
また、海外有力アカデミアと進めている複数の共同研究のなかから、2023年にはEVウイルス(EBV)陽性リンパ腫を対象とした臨床試験が開始される可能性も出てきている。
そのほか神経膠芽腫や多発性硬化症などを対象とした非臨床試験も進んでおり、これらが開発に成功すればBCVの市場価値も1,000億円を超える可能性が出てくるだけに、今後の動向が注目される。


3. 今後の見通し
2022年12月期業績は「トレアキシン(R)」の販売増により、売上高で前期比21.1%増の10,003百万円、営業利益で96.9%増の2,000百万円と増収増益となる見通し。
再発・難治性DLBCL向けの売上高が通年で寄与することや、シェア拡大が増収要因となる。
2023年12月期については「トレアキシン(R)」の薬価並びに後発医薬品の販売動向がリスク要因となる。
対象患者数の増加やBR療法及びP-BR療法の浸透による需要増加が見込まれるものの、後発医薬品の価格が先発品の約43%の水準に決まったこともあり、今後の動向によっては減収となる可能性もある。


■Key Points
・「トレアキシン(R)」は再発・難治性DLBCLへの適応拡大とシェア拡大により成長するも、後発医薬品の動向がリスク要因に
・BCVはウイルス感染症のほか悪性リンパ腫、脳腫瘍、多発性硬化症などにも開発の可能性が広がり、成長ポテンシャルが大きく拡大
・2022年12月期業績は「トレアキシン(R)」の拡大により増収増益が続き、2023年12月期も黒字確保を目指す方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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