[19日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)会社ジェネシスのレンディング(貸し出し)部門は19日、米連邦破産法11条の適用を申請した。
レンディング業務を手掛けるジェネシス・グローバル・キャピタルは暗号資産交換業大手FTXの経営破綻を受け、昨年11月16日に顧客資金の引き出しを停止していた。
ジェネシス・グローバル・キャピタルはニューヨーク南部地区連邦破産裁判所に提出した書類で、資産と負債はいずれも10億─100億ドルの範囲で、債権者は10万人以上と指摘した。5月19日までに破産状態からの脱却を目指すという。
ジェネシス・グローバル・キャピタルの親会社であるジェネシス・グローバル・ホールドコと、別のレンディング部門ジェネシス・アジア・パシフィックも破産申請を行った。
ジェネシス・グローバル・ホールドコは発表文で、債権者への返済に向け、資産売却や債務株式化の可能性を検討すると述べた。1億5000万ドルの現金を保有していることも明らかにした。
また、ジェネシスのデリバティブ・スポット取引、ブローカーディーラー業務、カストディ業務は破産手続きの対象ではなく、顧客取引業務を継続するという。
ジェネシス・グローバル・キャピタルはヘッジファンドや資産運用会社を含む金融機関に対し暗号資産の仲介を行っていた。同社のウェブサイトによると、第3・四半期末のアクティブローン残高は約30億ドルで、前年同期の111億ドルから減少している。
関係筋によると、最大の借り手はシンガポールのヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタルとアラメダ・リサーチで、両社とも経営破綻した。
UBSの通貨・暗号資産ストラテジスト、イワン・カチコフスキー氏は、今回の破産申請は「市場に衝撃を与えるものではない」とした上で、「連鎖効果が続くかは不明」と指摘。「ただ、資金がすでに2カ月以上にわたって凍結され、他の暗号資産大手からこれに関連する影響が発表されなかったことを考慮すると、影響の波及は限定的だろう」と述べた。