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アデランス (TOKYO:8170)の売上高は前期比約4,300百万円の増収予想だが、地域別では、国内で1,700百万円増収、海外で3,700百万円増収という内訳だ(各地域別増収額の合計と全体の増収額の差は連結調整などとなる)。
国内の増収は、とりわけ女性用(オーダーメイド、レディメイド両方)の需要回復に期待がかかっている。
新中期経営計画で示された重点施策の中でもレディメイド店舗の積極的出店や、オーダーメイド拡販のための展示会開催の促進などが掲げられている。
海外事業は米国ヘアクラブ社への期待が大きい。
ヘアクラブ社は女性用かつらや増毛商品の売上高拡大に大きな成長余地がある点や、FCの直営化で売上高が底上げされる効果も期待されることがその理由だ。
ただし利益面では、高水準の償却負担が続くため、営業損失は2015年度(ヘアクラブ社は12月決算)も継続する見通しだ。
ボズレーはトップシェアと知名度を生かして着実な成長を続けるとみている。
またボズレー社が2014年導入したFUEは、体にメスを入れない点で人気が高まっており、収益への貢献が注目される。
営業利益は約800百万円の増益予想となっているが、これは売上高の増加に伴う利益と考えられる。
2015年2月期同様、今後も広告宣伝や販促、あるいは出店関連の費用が予定されている。
これらの費用を絞り込めば一時的に利益を捻出することはできても、中期的には現在必要な市場拡大の妨げとなり、シェアを失う可能性が高い。
したがって費用削減に頼らず、トップライングロースによる利益拡大を目指す同社の攻めの経営姿勢を評価したい。
経常利益と当期利益が減益予想になっているのは、為替差益を見込んでいないためだ。
2015年2月期は期末のドル円レートが119円40銭前後の水準で、その1年前の102円20銭前後に比べて17円20銭ほど円安に振れたことが3,431百万円の為替差益につながった。
2016年2月期については、期初の為替レートが既に120円に近い水準にあることを考えると為替差益による上振れは見込めない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)